いつなくなってもおかしくない
昨今、新車には当然のようにパワーを上げ、燃費やスタイルを改善し、魅力的なモデルチェンジをすることが求められますが、それ以上に毎年のように厳しくなる「安全基準」「環境基準」をクリアすることも求められます。
少量生産のスポーツカーにとって本当に厳しいのはそこなのです。正直、台数は出ないのに次から次へと責任が覆い被さってくる。特にロードスターのような、せいぜい200〜300万円の大衆スポーツカーはそこが本当に大変。
事実、かつて80~90年代にイギリスやイタリアにあったライトウェイトスポーツはすべて消え去りました。残るのは日本のマツダ・ロードスターとトヨタGR86(319万5000円~)、スバルBRZ(381万7000円~)ぐらいのもの。後はポルシェやフェラーリのような高額なハイエンドスポーツカーだけ。
現代は大衆スポーツカー苦難の時代なのです。中でも年間せいぜい100万台規模のマツダが、ロードスターを作り続けるのは苦労の塊。恐らく中国韓国の新興メーカーも手を出さないでしょう。
既にロードスターは走る文化遺産になりつつあります。作り続ければ、その有り難みを知るファンが買ってくれるというマニアックなローテーションが作られているのです。
そんな中、ND型ロードスターは本気の延命措置を図りました。その結果、売れているというのが今年の結果なのです。
もちろん売れてもグローバルで年間せいぜい数万台。トヨタカローラなら1カ月で売りさばく数でしょう。実は文化事業にも近いモノだと小沢は思っています。いつなくなってもおかしくありません。買えるウチに買わなければいけないのです。
ある意味走る文化事業。そういう、希有なビジネスなのです。