都会を爆走する命知らずのノーヘルたち

そして、多くの「自転車は歩行者カテゴリーだと思い込んでる人」は、そのかぶるかぶらないの基準ラインを自転車とモーターサイクルの間あたりにあると思ってる。

でも、違う。私などは歩行者と自転車の間だと思うし、多くの実証結果はそれを示しているのだ。

よく「自転車は走る凶器である」という言葉を聞くが、それは金属が堅くて痛いから、というのが主ではない。「自転車は速いから」「衝突エネルギーが大きいから」というのが基本で、それはぶつかられる側だけではなく、ぶつかる側にとってもそうなのだ。

都会の道路を爆走しているペダル付き電動原付バイク「モペッド」は、もちろんヘルメット着用が義務である。原付だから。ところが、実際にはノーヘルでナンバーすら付いていない違法モペッドがうじゃうじゃいる。違反も違反だが自分の命を危険にさらしているということを分かっているのだろうか。

ノーヘル、ナンバーなし、2人乗りの満貫違法モペッドが環状六号線を爆走する。ぶつかったら2人ともただじゃすまない
写真=筆者提供
ノーヘル、ナンバーなし、2人乗りの満貫違法モペッドが環状六号線を爆走する。ぶつかったら2人ともただじゃすまない

また、最高速度20km/h(LUUP同士の相対速度は40km/hだ)のLUUPのユーザーも、現実として、CM以外ではだれひとりヘルメットをかぶっていない。これも明らかに危険、というよりもはや「法の不備」とすらいえるだろう。

ヘルメット着用率は都道府県で雲泥の差

ご承知の通り、2023年から、日本でも自転車ヘルメットの装着は罰則なしの「努力義務」となった。

装着率はじわじわ上がってきているとは言うものの、全国平均でいまだに17%というところだ(2024年7月、警察庁調査)。ちなみに、1位は愛媛県の69.3%、最下位は大阪府の5.5%と都道府県によってかなり差は大きい。

【図表】都道府県別ヘルメット着用率 トップ10・ワースト10
警察庁「自転車乗車用ヘルメット着用率調査結果」より編集部作成

じつのことを言うと、この装着率は低いとも解釈できるが、案外高いともいえる。海外と比べてみよう。

たとえばオランダーやデンマークなどの自転車先進国においては、ヘルメットをかぶっている人はあんまりいない。自転車の走行スペースが完備していて、クルマとぶつかる可能性がきわめて低いからだ。かの国々では「自転車ヘルメットが必要なほど危険な道路は、インフラに問題がある」というのが常識となっている。

デンマーク大使館でのブリーフィング。郊外の自転車専用道などでは、高齢者もヘルメットをかぶらない
写真=筆者提供
デンマーク大使館でのブリーフィング。郊外の自転車専用道などでは、高齢者もヘルメットをかぶらない