短歌を詠い続ける晶子と庭で蟻をつつき回す夫
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
『みだれ髪』に収録された歌人の与謝野晶子の作品です(刊行時の名義は鳳晶子)。この熱い肌に触れもせずに人の道を説いていて寂しくないのですか、と「君」に語りかける短歌です。1901年に出たこの歌集は、恋愛における情熱を官能的に表現し、センセーショナルな話題を呼びました。それまでそんなことを書く歌人はいなかったのです。
与謝野晶子は大正時代から昭和時代前期にかけて活躍した歌人で、『みだれ髪』はもちろん、「君死にたまふことなかれ」の一節で知られる詩でも知られています。夫は同じく歌人の与謝野鉄幹で、冒頭に挙げた短歌の「君」とは、鉄幹のことを指していると言われています。鉄幹とのあいだには、12人もの子どもがいました。
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