子と同居していない高齢者の「自宅暮らし」を誰が支える?
今後、少子化が進むなかで、介護労働の担い手不足や高齢者の意識変化も相まって、国は高齢者が在宅で暮らし続ける「地域包括ケアシステム構築」政策をさらに進め、多くの高齢者が、病院や施設ではなく、住み慣れた地域で住む時代になっていくだろう。
高齢者自身もそれを望んでいるようだ。
内閣府の「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査結果」(2015年)によれば、自分の健康レベルが「日常生活を行う能力がわずかに低下し、何らかの支援が必要な状態」である場合には、「高齢者向きのケア付き住宅」や「子や孫、兄弟姉妹など親族の家」などではなく、「現在の自宅」に住み続けたいと希望する人が7割弱を占めるという結果だった。
しかし、老いが進む長寿期に、住み慣れた自宅で過ごすためには、「日常生活を行う能力が低下した部分」を補い支えてくれる力が必要になる。
「日常生活を行う能力がわずかに低下」した場合、どうするのか
生活を維持するには、日用品の買い物、毎日の食事づくりや掃除、洗濯などの家事をはじめ、病院受診時の付き添い、金銭の出し入れなど、「雑事といわれながらもそれがなければ維持できないこと」が数限りなくある。
そうしたことを自分で担えなくなったとき、誰がそれを補い支える役割を担ってくれるのだろうか。
子どもがいても、子世代家族と別居する高齢者が増え、子世代の単身化も進んでいる。
現在の時点でも、80歳以上の高齢者の家族形態は、男性で「単独世帯」17.1%、「夫婦のみの世帯」47.1%、「配偶者のいない子と同居」23.7%、「子夫婦と同居」10.6%。
女性では、「単独世帯」34.8%、「夫婦のみの世帯」19.3%、「配偶者のいない子と同居」26.4%、「子夫婦と同居」17.4%である。
「ひとり暮らし」は女性が多く、「夫婦二人暮らし」は男性に多いという違いはあるものの、子どもと同居しない高齢者が増えている(厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」2023年)。