重視すべきは「時間」ではなく「効率」
「あんた、勉強しなくていいの? 勉強しなさい!」
そんな風にお子さんを叱る親御さんは多いと思います。例えばテスト前だというのに子供が勉強せずに遊んでいたら、「勉強しなさい」と言いたくなることでしょう。
でも、「勉強をしている」というのにも、いろんなグラデーションがあります。だらだらと問題を解いて、他のことを考えて時間が経つのを待ちながら勉強していても「勉強をしている」ということになってしまいますし、全く逆にすごく集中して、普段解く問題の量の3〜4倍も解ける時もあるでしょう。
同じ時間勉強していたとしても、効率が悪ければ、元も子もないわけです。「勉強しなさい!」と叱る親御さんはいても、「効率よく勉強しなさい!」と叱る親御さんは少ないのではないでしょうか? でも、ただ「勉強しなさい!」と叱っているだけでは、あまり意味がないのです。
意外な話かもしれませんが、東大生の中には、毎日1時間の勉強だけで東大に合格する人がいます。授業の時間を除いて、自分の勉強時間は1時間と決めていて、平日も休日も、たった1時間の勉強時間だけで合格した、という人がいます。
それを聞いて「うわあ、すごい人がいるんだな、天才だな」と思う人もいると思いかもしれませんが、実はこれには裏話があります。そういう人は、「1時間の勉強効率をいかに上げるかということ」を徹底的に考えて勉強を構築しているんです。
「制限時間付き」で子供が本気になる
「今から1時間勉強するとして、その1時間の間に、何を終わらせようか? どこまで勉強しようか? 何を目標にして勉強しようか?」ということを、20~30分程度しっかりと考えて、その上で集中して決めた目標を終わらせていく勉強をしているのです。
そういう人は、毎日だらだら6時間勉強している人よりも、圧倒的に勉強効率が良いです。ゴールが決まっておらず、ただ漫然と勉強に時間をかけている人よりも、「絶対に1時間以内で自分の勉強を完結させてやる」と決めている人の方が、成績は上がっていくのです。
「最小の努力で、最大の結果を求めよう」と考える、つまりは「コストパフォーマンスの良い勉強」を意識していくことで、成績が上がっていく場合があるのです。
例えば、僕らは「なかなか勉強のやる気が出ないお子さん」に勉強を教えたり、「親が何度言っても勉強に身が入らない生徒」を指導することもあります。そういう時には、「制限時間付きの勉強」をおすすめしています。
ズバリ、「1時間しか勉強しちゃいけないとして、どんな勉強をするか、一緒に考えてみよう」と言うのです。
「3時間も4時間も勉強しなきゃならない」と考えるとうんざりしてしまいますが、逆に「1時間で絶対に集中して、やるべき勉強を終わらせよう」と考えるのも、なかなか難しいことです。子供は、普段やっている宿題や、やらなきゃならない復習などを1時間以内に詰め込むとすると、どうすればいいのか、と言うことを本気で考えることになります。