米倉弘昌会長(住友化学会長)が任期満了を迎える来年6月まで残り1年3カ月余りに迫った日本経済団体連合会の次期会長選びが混沌としてきた。会長を支える副会長陣は、6月4日の定時総会で選出されるトヨタ自動車、新日鉄住金、東芝という会長輩出歴のある「御三家」出身者が内定、盤石な布陣を整えた。しかし、次期会長の有力候補は不在で、任期2期4年の第4コーナーを迎え、「ポスト米倉」の行方は不透明感が増す一方だ。
経団連は2月12日に開催した会長・副会長会議で、新日鉄住金の友野宏社長、トヨタ自動車の内山田竹志副会長、東芝の佐々木則夫社長の3氏を、副会長に起用する人事を内定した。いずれも2期4年の任期を満了し、退任する宗岡正二・新日鉄住金会長兼最高経営責任者(CEO)、渡辺捷昭・トヨタ自動車相談役、西田厚聰・東芝会長に代わって、それぞれの出身企業からの起用となった。
東京電力が原発事故で経団連活動を実質停止した今、3社は経団連の超優良銘柄で、「これで『御三家』も安泰」(経団連事務方)との声も聞かれる。とりわけ、トヨタは渡辺氏が退任後、副会長の“有資格者”は「経団連活動に距離を置いている」(同)とされる豊田章男社長だけになり、トヨタの「指定席」が消える事態も危惧されていた。それだけに、トヨタの新会長就任含みで内山田氏が内定したことに、経団連には安堵感も漂う。
しかし、御三家安泰もつかの間、米倉会長には後任者選びという最大の難問が待ち受ける。ポスト米倉を狙える副会長は18人いる。新任の3副会長は経験不足で候補から外れると仮定するなら、残る有資格者は15人となる。しかし、経団連は製造業を代表する団体としての性格が強く、会長は製造業からとの不文律がある。その括りなら候補者は5人、しかも、副会長ナンバーツーとなる坂根昌弘・コマツ会長は相談役に退いて資格がなくなり、原則に従えば4人に絞られる。
ただ、いずれも「帯に短し、たすきに長し」(同)との評がもっぱら。米倉会長自身も「旧財閥系は除外」との不文律を破り指名された経緯もあり、再び“掟破り”があっても何ら不思議はない。現段階で「財界総理」選びは暗礁に乗り上げているように映る。