一人暮らしの高齢者を狙った「悪徳訪問販売」によって思わぬ被害にあうことがある。あす綜合法務事務所グループ代表の澤井修司さんの書籍『あるある! 田舎相続』(発売:講談社、発行:日刊現代)より、一部を紹介する――。
「資産家の母親」は一人暮らしだった
85歳の鶴子は、300坪の広大な敷地にある兜造りの立派なお屋敷で一人暮らしをしています。
鶴子の夫は10年前に他界。子どもたちは家を出て、長男の亀男は東京、次男の熊男は駐在先の中国・上海で暮らしていました。
営業マンが次から次へと訪れる
見るからに立派なお屋敷には、訪問販売系の営業マンが次から次へと訪れます。
彼らがこぞって、布団から貴金属の買い取り、リフォーム、保険に至るまで、さまざまな商品をアピールするのがもはや日常の光景でした。
そんなある日、生命保険の営業マンの銭本がやってきました。
鶴子さんは「私は保険には入らないわよ」と断っていましたが、銭本は毎日のように足しげく通っては、庭の草むしりをしたり、切れた電球を取り替えたりしてくれました。
ときには1時間くらい話し相手にもなってくれたり、「クルマがないと不便ですよね。買い物のお手伝いをしますよ」とスーパーへの送り迎えをしてくれたこともありました。