「高齢者をだますのもたいがいにしろよ!」

不審に思った亀男は急遽帰省して、鶴子と一緒に銭本からの説明を受けることにしました。

銭本は「途中で引き出すこともできますよ」などと、口なめらかに保険商品のメリットを説明しますが、亀男の顔はみるみるうちに硬直していきました。

まさか不動産以外の全財産3000万円を生命保険1商品に突っ込むとは思っていなかったからです。

「あのさ、あんた、やりすぎだろ。おふくろにどうやって取り入ったか知らないけど、高齢者をだますのもたいがいにしろよ!」

亀男は激怒して銭本を追い返しました。

亀男の剣幕に鶴子もようやく我に返って事の重大さを悟ったのか、しょんぼりしてしまいました。

そんな鶴子を見て、亀男は反省して言いました。

「あのさ。俺、もうちょっと帰省するようにするよ」

「生命保険で相続税対策」はウソではない

銭本は「生命保険を相続対策に活用できる」と鶴子に言いましたが、これはウソではありません。というのも、生命保険は、亡くなった人の遺産ではなく、受取人固有の財産と見なされるからです。

丸印の札を持つ人
写真=iStock.com/joel-t
「生命保険で相続税対策」はウソではない(※写真はイメージです)

ということは、生命保険は原則として遺産分割対象ではありません。

相続財産ではないので、相続人が相続を放棄しても受け取ることができるのです。

つまり、被相続人が特定の人にスピーディーに財産を渡して、スピーディーに現金化させたいときに、生命保険は大いに役立ちます。