「時間がなくて本を最後まで読めない」「読んでもすぐに忘れてしまう」。そんな悩みを解決しよう。速読日本一の速読コーチが教える「スポーツとしての速読」のコツとは――。

遅くても速くても「一度で理解」は難しい

本を読むのが遅い人には、2つのクセが見られます。一つは、「本の内容を100%理解しなければいけない」と思い込んでいること。少し読んで、理解できないことがあると、その場で止まってしまいます。私自身も以前はそうでした。「これはどういうことなのかな?」と頭の中で考えているうちに、30分、1時間と経ってしまい、読み進めない時間が長くなってしまうのです。読書が苦手、という人はこの部分でつまずきがちです。

角田和将氏
角田和将 Kazumasa Tsunoda 速読コーチ。2010年開催「速読甲子園」で準優勝、翌月開催された特別優秀賞決定戦で速読甲子園優勝者を下して日本一に。高校時代、国語の偏差値は40台。著書に『速読日本一が教えるすごい読書術』(ダイヤモンド社)など。

そもそも論として、読むスピードと記憶は関係ありません。速くても遅くても、本を読んで最終的に頭の中に残るのは、1~2割しかないのです。記憶している場所が違うだけです。読むのが遅い人は、理解できるまで先に進まないので、最初の部分だけはしっかり理解できています。反対に読むのが速い人、速読をマスターしている人は、最後まで目を通しているので、章ごとの理解は浅くても、本の全体像を捉えることができています。

これはペンキで壁を塗る作業に似ています。ゆっくり読む人は、一発できれいに仕上げようとして、端から丁寧に壁を塗っていくイメージです。速読する人は、はじめにざっと全体を塗って、少し寝かせます。その後に何度か重ね塗りをして、最終的にきれいに仕上げるイメージです。

読書に話を戻すと、読むのが遅くても速くても、すべてを一度に脳に定着させることは難しいのです。であれば、はじめから「本の内容を“完璧に”理解しよう」と意気込んで読書に取り掛かるのではなく、「1割だけ理解できればいい」と割り切ってしまえばいいのです。読むのに時間がかかり、途中であきらめてしまうのは本末転倒です。速読では、読み進めていって「このページに書かれていたのは最新のAI技術のことだな」「この章で言いたかったことは、投資はインデックスに限るということか」といったように、ざっくりと主旨がわかれば、まずはOKです。理解できない文章は「後で考えよう」と割り切って、どんどん先に進んだほうがいいのです。

速読を阻むもう一つのクセは、1文字ずつ文字を読んでしまうことです。頭の中で、一文字ずつ音読して本を読むと、シンプルに時間がかかります。子どものころの国語の授業で音読をしていたことが原因だと思います。

速読術をマスターすると、1冊15分ほどで読めるようになりますが、そのレベルに到達するには、それなりの訓練が必要です。スポーツに似ています。読む時間を速めていきたいなら、かかった時間を意識するのがポイントです。時間を計って、「今回は30分かかった」「20分で読み終えた」と意識することで、読み進めるペースが上がっていきます。毎回厳密にタイマーで計る必要はありません。通勤時間に「最寄り駅で降りるまでに1冊」などと、自分なりの目標を立てて読むことで、時間を把握できます。こうした日々の取り組みを継続することで、徐々に短い時間で読めるようになっていきます。

さらに速読力を上げるためには、筋トレのようなトレーニングを続けることが効果的です。「読み進め」トレーニングと「内容理解」トレーニングを紹介します。