書店の倒産が増えている。出版ジャーナリストの石橋毅史さんは「利益率の低さと雑誌の売り上げが落ちたことが主要因だ。だが、『独立系書店』が増えてきた状況を見るに、書店が生き残る道はまだ残されている」という――。
本棚から本を取る人の手元
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新しい店ができる4倍のペースで閉店している書店

書店業の危機を唱えるニュースが増えている。3月に経済産業省が「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げたこともマスコミを刺激しているのか。

いまに始まったことではないが、書店は減りつづけている。会員出版社のマーケティングへの活用を目的に全国の書店情報をデータベース化してきたJPO(日本出版インフラセンター)によると、6月18日時点の登録店舗数は1万802店。

ここ10年(2014~2023年度)では、開店などで新たに登録された「新規店」が1711店だったのに対し、登録から除外した「閉店」は4倍以上の7059店にのぼる。

今回の話のベースになるので、すこし解説――。このJPOのデータは、おもに日本出版取次協会に加盟する取次会社(トーハン、日販などの出版卸業者)から新刊書籍、雑誌を仕入れている書店の「店舗」を、できるだけカウントしたものだ。

アマゾンなどのネット通販事業者、ブックオフなど新古書店の店舗、古本屋、新刊書を扱っていても取次会社と取引のない書店は、カウントしないか、このデータとは別にカウントしている。消費者から見た「書店」の全体ではないが、従来の新刊書店の現状を知る指標になっている。