煩悩は思った以上に手ごわい

そもそも、煩悩は理性で封じ込められないのでしょうか。

結論は、「生きている限りムリ」。

学習心理学によると、われわれは、「未来」より「今」の方により価値を感じる習性があるそうです。これは「遅延による価値割引」と言われる心理効果で、先のことであればあるほど、価値が目減りする心理のこと。

つまり、「後で、メールを返信する」より「今、メールを返信すること」の方が、価値があるように感じてしまうのは、われわれの本能的な習性というわけです。

だったら、この習性を利用し、「今、メモ(パーキングロット)に書き留めておく」ことを価値ある選択にしておけばいいわけです。

私もそうしています。やってみると、手ごわい誘惑に克てることを実感しています。

「判断疲れ」は侮れない

ところで、あなたは1日に何回、食事に関する判断をしていますか。

多くても20回……と思いたくなりますが、コーネル大学の研究者によると、毎日226.7回の決定をしていると言います。

何を食べる? 何を飲む? どのグラスにする? どのくらい注ぐ?

ストローは? どの場所で? テーブルのどこに置く?

このように、気付かない無意識の判断を常に繰り返しているのです。

さらに、ケンブリッジ大学の研究では、大人は毎日約3万5000回の判断をしているというのですから、どれだけ脳ががんばってくれているかがわかります。

さて、ここで注意しておくべきことがあります。これらの無意識の「判断」の繰り返しが、脳を疲れさせるという事実です。

フロリダ州立大学のロイ・バウマイスター博士の「意志力」の説に答えがあります。

・「意志力」は、判断をするほどに低下する。
・なぜなら、判断をするほどに「判断疲れ」を起こすから。
・ゆえに、「意志力」を温存するのであれば、判断の回数を減らすべき。

つまり、意志力はあたかも筋肉のように、使えば使うほど消耗するというわけです。