農協だけに認められた准組合員
農協の正組合員は、農業者である。農業者のための協同組合だから、当然である。しかし、農協には、地域の住民であれば誰でもなれる准組合員という独自の制度がある。
准組合員は、正組合員と異なり農協の意思決定には参加できないが、農協の信用事業や共済事業などを利用することができる。JA農協の前身だった産業組合は、農業に従事しない地主を含め地域の住民を組合員にしていた。しかし、農協法を作る際、GHQは地主を排除するため、組合員資格を“農民”とすることにこだわった。
このため、元の産業組合のように、地域の住民であれば誰でも農協を利用できるようにするため、他の協同組合にない准組合員という制度を作ったのである。利用者がコントロールするという協同組合原則からは完全に逸脱するものだが、歴史的な経緯から、やむを得ず、例外的に認められた制度だった。
政府資金を運用して大儲け
戦後JAバンクは、食糧管理制度の政府買い入れ制度の下、政府から受け取ったコメ代金をコール市場で運用して大きな利益を得た。
さらに、肥料メーカーには、独占禁止法の適用除外を認めた「肥料価格安定臨時措置法」によって1954年から1986年までカルテル価格が認められた。本来の趣旨は、国際市場で価格競争をするため安くなる輸出向け肥料の損失を、国内向け価格を上げて補てんすることがないようにするというものだった。
しかし、制度の運用結果は、正反対のものとなった。1954年当初は輸出向け価格と同水準であった硫安の国内向け価格は、1986年には輸出向け価格の3倍にまでなった。この法律は5年間の時限立法であったが、制度の継続・延長を繰り返し要望したのは、肥料産業というより、肥料販売の大きなシェアを持つ農協だった。