滞りの解消で普及したコンビニのお弁当

物流に「よい物流」と「悪い物流」があるとすれば、「よい物流」とは「滞り」のない物流です。

物流にはピークとオフピークが必ず存在します。人がモノを欲しがるタイミングは重なることが多いので、それが集中すれば当然、ピークが発生します。もちろん、その逆はオフピークで「今は誰も望んでいない」という時間帯もあります。

たとえば、コンビニのお弁当について考えてみましょう。

職場でコンビニのお弁当を食べるのは、昼休み、12時から1時間以内になると思います。午後2時や3時になってお昼を食べるという人もいないわけではないでしょうが、多数派とはいえないはずです。

実際、3時くらいにコンビニでお弁当を買おうとしても、「人気のあるお弁当は売り切れ」ということも多いと思います。

これを物流の視点から考えると「お弁当の配送は、せいぜい午前11時くらいから1時間程度で終えなければならない」ということになります。お弁当の物流は、「昼休みの1時間前に必ず届ける」ということが必要になるのです。

唐揚げ弁当
写真=iStock.com/runin
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「ドミナント」戦略で都内への配送を効率的にこなしていく

しかし、コンビニの店舗は1店舗だけというわけではありません。1店舗のためにトラックを用意して、ドライバーに運んでもらうということになれば、効率がとても悪くなるし、コストもかかります。

そこでコンビニが考え出したのが「ドミナント」という出店戦略です。ドミナントとは「支配的な」という意味ですが、この場合は集中的に出店することを意味します。

渋谷、新宿、池袋といったように都内のあちこちに出店すれば、配送トラックがあちこち回るだけで時間がかかってしまいます。しかし、渋谷に集中させれば、短時間に集中して配送できるわけです。

この考え方は物流以外のフィールドにも活用できます。「時間を合理的に管理しながら、仕事を効率的にこなしていく」ということと大きな共通点があるのです。

そして、そのキモとなる部分が「滞り」の解消です。ピークとオフピークの意味合いや特徴を考えながら、「ピークをいかに乗り切っていくか」(ピーク対応)、「オフピークの閑散をいかに解消していくか」という対策を立てていくのです。