「数学は嫌い」のままではもったいない

でもなあ、と思われた方も多いと思います。もう一歩進んだ方の反論を聞くと、だいたい以下のようになります。

「でもですね。この世の商売の7割は数学を嫌がる人に対して数学を提供するものなんだったら、金さえ出せばどうにかなるんじゃないですか」

あるいは、

「でもですね。この世の商売の7割は数学を嫌がる人に対して数学を提供するものであるなら、それだけ数学が面倒くさいものだってことになるわけでしょ? 面倒くさいのは嫌いなんですけど」

このような反論が必ず出ます。品のよい方だと心に思うだけで、その後数学教室とかにいらっしゃらなくなります。

それで、この反論の反論になるのが本書のテーマである関数電卓だったりします。

芝村裕吏『関数電卓がすごい』(ハヤカワ新書)
芝村裕吏『関数電卓がすごい』(ハヤカワ新書)

「金さえ出せばどうにかなるんでしょう?」「その通り。でも節約できそうなら節約するのが賢い生き方だと思いますよ」

または、

「面倒くさいのは嫌いなんですけど」「はい、ところがこの道具(関数電卓)を使うと簡単に計算できます」

というわけです。

なにがなんでも絶対嫌い、あるいはやらないというよりは、簡単な概念だけでも理解して、あとは必要に応じて計算する。面倒くささをわかったうえで外注する。そういう生活のほうがいいと思います。

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