転職しても給料が下がってしまうカラクリ
たとえば6年間、なんにもしていなかった場合は、0.976で0.832になります。元の83%まで価値が下がっているわけですね。転職市場の多くがこの計算式に類似した価値計算をしています。下落率を4%としているところも結構あります。年齢が一定以上になると下落率を3%から4%に引き上げるところもあります。ですので、このあたりは色々と試算して遊ぶことが重要です。
多くの転職の現場で聞く、転職しても給料が下がるところしかないしなあ……というのは、多くの日本企業では人の評価がきちんとできておらず、入ってから当たりか外れかわかるという問題があるためです。このため求職時は一番低く見積もっているのが常態化しています。人の評価がきちんとできないので下請けに頼る、という図式にもなっています。
これで入社後に当たりだったら給料改定、となればいいのですが、通常そんなことはないわけです。ですから、転職を渋った結果、企業から足元を見られて昇給が緩やかになるというケースが頻発します。
このあたりをどうにかしようと政府がリスキリングなどの施策をやっている、というわけですね。
自然下落に抗うためのスキルを獲得する
政府の施策を見ればわかる通り、労働価値を高める特効薬は自分のスキル(技能)です。資格が必要な仕事などでは、求人内容から必要なスキルが目に見えてわかるわけです。この資格は年間給与にするといくらになるのか、といった数字は、求人情報を見れば割とすぐにわかります。
資格試験や実績による間接的なスキル評価で自分の労働価値を高めていき、できれば自然下落分の3%を超えて市場価値を高めていけば、理論上は転職で給料が上がっていきます。
去年の自分と比べて価値を3%引き上げるようなもの、スキルはなにか。こういうことを考えながら仕事をすることは、個人の意識づけとしては大変に有用です。なんにも考えてない人が多いなか、そういう視点を持っている、というだけで大きな差になっていくわけです。