※本稿は、石岡充彬『便秘専門医が教える 腸の再教育』(日刊現代)の一部を再編集したものです。
便秘の人にとって強い味方となる「油」
「ダイエット中だから油は控えています」という方も多いですが、便秘の人にとって「良質な油」は強力な味方です。特におすすめなのが「エキストラバージン・オリーブオイル」。これには2つの大きなメカニズムがあります。
①カチカチ便をスルッと滑らせる、腸内の「潤滑油」
オリーブオイルの主成分である「オレイン酸」は小腸で吸収されにくく、大腸まで届きます。これが文字通り「潤滑油」となり、カチカチの乾いた便をスルッと滑りやすくしてくれます。
②自分の体内に眠る「天然の下剤」。胆汁酸スイッチを押す
私たちが食事で油を摂ると、消化のために肝臓から「胆汁」が一気に放出されます。実はこの胆汁に含まれる「胆汁酸」こそが、大腸を強く刺激して蠕動運動(※)を促す、体内の「天然の下剤」として働きます。
※蠕動運動:食道や胃、腸などの消化管が波のように縮めたり緩めたりして、食べた物を先(肛門)へと送り出す動きのこと
薬に頼らないで腸を動かす
油抜きダイエットで便秘になるのは、滑りが悪くなるだけでなく、この「胆汁スイッチ」が入らなくなってしまうからです。
実は、この胆汁酸の「大腸を動かし、便に水分を含ませる」というパワーは、医学的にも非常に強力です。近年では、まさにこのメカニズムを利用して胆汁酸の力を大腸で発揮させる「グーフィス®(一般名:エロビキシバット)」という画期的な便秘薬(処方薬)が開発され、現在の医療現場で大活躍しているほどです。
つまり、良質な油を摂ることは、最新の処方薬と同じ「腸を動かす強力なスイッチ」を、自らの体の機能を使って自然に押すことと同じなのです。
オレイン酸の排便促進効果は、近年の研究でも明確に裏付けられています。2025年に発表された臨床試験では、慢性便秘症の患者さんにエキストラバージン・オリーブオイルを4週間摂取させた結果、便の硬さや排便回数が明確に改善したことが報告されています。
この効果を最大限に引き出すための「ベストなタイミングと方法」をお伝えします。


