世代の違う人間が、共通の目的に向かって切磋琢磨し、商品をつくりあげていく。理想的な組織だが、もちろん衝突することだってある。先にも触れたように、「ほよろい」の場合はネーミングで物議を醸した。商品として、どう考えてもインパクトが弱い。酒というものは本来は強いイメージを欲するから、ひらがなの商品名にも反対意見が続出した。

ほとんどジュースのような味わいの低アルコール飲料「ほろよい」シリーズ。

イメージにも齟齬があった。

「ほろよい、と聞くと、オジサン世代にとっては『お酒をたくさん飲んで千鳥足で歩く姿』を連想してしまう。商品コンセプトは若い男女向けですから、ベロンベロンの酔っ払いのイメージでは嫌われるんじゃないかと。どうしても違和感が払拭できなかった。高橋もその点は気になっていたみたいなんです。そこで実際にモニター調査を開始しました。

部屋の中なのに帽子を被って、だぼっとした感じの服を着た若いお兄ちゃんが『ほろよい? すげぇいいんじゃないっすか。かわいい感じで』というんです」

そのほかにも、ネーミングがほわんほわんしていていい、柔らかくてかわいい、などなど。商品名に関しての若い世代へのインタビューの大半は、好意的な答えだった。

「はまる、というキーワードは、こういうところに表れるのかなと思います。インパクトが弱かろうがアルコール度数が低かろうが、若い人はいったん受け入れてくれたらずっと可愛がってくれる。『ほろよい』には、お客さんと繋がりを保つ何かがあるんです。スーパーやコンビニの棚に並んでいる数多くの商品から、この1本にお客さんの手が伸びる一瞬。その一瞬のための工夫なりアイデアなりがたくさん詰まっている。それをつくり出す、見つけ出すことは難しいことですけど、それを開発メンバーは日々探していかねばなりません」