戦力の多くは家庭の主婦出身

広いオフィスを埋め尽くすのは、ヘッドホンをした女性たち。パソコンを操作し、資料を開きながら、よどみのない口調で、電話口の相手からの問いかけに丁寧に答えている。

みずほ銀行 
小河 満美子 

1965年、三重県生まれ。88年、大学卒業後に入行、新宿支店に配属。中野北口支店副支店長などを経て、2007年狛江支店支店長就任。10年横浜ダイレクトバンキングセンター所長に就任した。

みずほ銀行の横浜ダイレクトバンキングセンターは、顧客の問い合わせや相談に対応する、いわゆるインバウンドのコールセンターだ。預金に関すること、投資信託やローンの相談、インターネットバンキングの利用法などなど、日々膨大な問い合わせの電話が舞い込む。支店で買った投信の説明をもう一度聞きたいと電話をしてきて、「買ってよかった」と安心する人がいれば、新商品が出るたびに決まって内容を尋ねてくる人がいたり。それに対応するのが、約700名のコミュニケーターと呼ばれるスタッフである。その多くが女性の派遣社員で、年齢層は40代から50代が中心。家庭を切り盛りする主婦が半数以上を占めるというから、銀行では異色の部署といえるだろう。

小河満美子がこのセンターの所長になったのは、10年10月のこと。2007年から東京・狛江支店長として指揮を執っていたが、事務部門などを合わせると1000名にも及ぶ大所帯を統括するのは初めての経験である。さらに、職場は女性が中心。男性の中でもまれてきた小河には未知なる領域だった。

「女性同士って、かえって意識して構えてしまうところがありますよね。だから、最初は大丈夫かなと不安でした。でも、5カ月たってみて、生活の背景は違うにしても、同じ働く女性として共感してもらえたかな、と。派遣社員のみなさんは、仕事に対してとても意欲的。私がいることで、『自分たちも、頑張って働けばきちんと報われるんだ』という動機づけになっているようにも思いますね」