自分のマイナス情報を発信するのも効果的だ。リストラ策には期限と予算があり、人事部にはノルマが設定される。だから説得に手間どる社員、トラブルが発生しそうな社員は後回しにする。「まだ子どもが小さい」「住宅ローンが残っている」「キレると何するかわからない」「親戚に弁護士がいる」「マスコミに友人がいる」などは、会社が敬遠したがる人物の要件だ。そうした情報をあえて流しておくとよい。

面談の席でも「こいつは手強い」と印象づける。基本は、堂々と記録を取ること。ノートを広げ、相手の発言を漏らさずメモする。嫌がられても「社外のユニオンに相談するときの資料ですから」と突っぱねる。その一方で、ICレコーダーで隠し録りもしておきたい。

面談での鉄則は次の3つだ。

(1)その場で返答しない
(2)相手のペースに引き込まれない
(3)既成事実をつくらせない

人事部と上司に返事を迫られても無言を通す。特に「考えておきます」「女房と相談します」「会社の状況は理解できます」は3大禁句だ。すぐ職場で吹聴され、「彼は辞める気だ」と既成事実をつくられてしまう。日頃からこうした“手強い相手”となるテクニックを磨いておきたい。

2つ目の関門は「定年」だ。いまのところ、希望者全員が再雇用されて会社に残れるわけではない。

備えは50歳前後からはじめる。まず、職場では部下でも年下でも「さん」づけで話すようにする。定年後、年下の上司を「○○くん」と呼ぶような勘違いは最悪だ。

見た目にも気を使う。ジム通いなどで黒い肌、白い歯、引き締まった肉体を維持する。白髪は染めて、老眼鏡はやめる。服装はいつも身ぎれいにし、会話でも病気、孫自慢、昔話は3大ダメ話題だ。

定年後を生き抜くには、「あの人がいるから仕事がうまくいく」と上司に思わせること。そのためには、仕事の肝になる部分は絶対にマニュアル化しない。若い人にも教えない。そうすれば70歳になっても周囲から「もっと頑張ってください」と言われるにちがいない。

※雑誌掲載当時