コスト削減は人件費頼みがほとんど
我々がクライアントから経費の半減を依頼されたとしても、普段ならお引き受けすることはない。
まず、依頼者が経費を出張費やオフィスで日々使用する文房具費等とイメージしているのなら、それらを削減しても大きな成果は得られない。もちろんそうした努力を否定はしないが、製造業にせよサービス業にせよ、ガソリン等のエネルギーを含めた原材料の調達コストに踏み込まなければ大きな成果が出せないのである。
そもそも調達コストの半減はあまり現実的ではないことが多く、仮にできたとしても調達部門の社員は「できる」とは報告しないだろう。それまでの自分たちの仕事を否定することになるからだ。
実際に多くの企業でコスト削減策として実施されている内容を眺めてみると、実はおよそ50%が人件費削減で、残りの25%は取引先から調達する部品や材料費等、残りの25%が出張費や文房具費といった一般に経費という言葉で想起される内容である。
正確な定義ではないが、売上高から外部から購入したものの差額を付加価値とし、これを売上高に占める従業員の給与の割合と比較すると、ほぼ同じ動きを示す。つまり付加価値をとれなくなった分、従業員の給与を引き下げて何とか営業利益を確保しているのが昨今のコスト削減の実態である。
以上を踏まえたうえで、大きな成果を得られるコスト削減の方法について考えてみよう。ここでは人件費以外について検討する。
相談にみえる方のなかにはコストを下げる魔法が存在し、それをかけたら何でも安くなるようなイメージをお持ちの方が少なくないが、実際には地味で愚直なやり方しかない。そのアプローチは大きく「安いものを買う」「安いところから買う」「安くする」「買わない」の4つに分けられる。
「安いものを買う」は、仕様を変更したり、部品の共通化をはかったりすることである。