優秀な社員ほどコピーに手をつける

最近は、大手企業からのコスト削減のコンサルティング依頼が増えています。こうした企業は必ずといっていいほど、若手の優秀な社員を集めて社長の特命チームをつくります。彼らが最初に手をつけるのが「コピー用紙」です。裏紙にもコピーするようにしたり、できるだけ小さい紙にコピーするようにしたりという取り組みを始めます。

もちろん、コピー用紙の削減は環境のためにいいことです。しかし、本当にコスト削減につながっているのでしょうか?

そもそもコピー用紙は1枚数十銭程度。コピー機のカウンター料金のほうが格段に高いため、紙の使用量が減ってもコピー機の使用が減らないと効果がないのです。

成果の出ないことに手間をかけても意味はありません。それどころか、裏紙を使うことで安心し、本来もっと効果が大きいはずの分野に目がいかないことが大半です。

コスト削減には、ほかにもさまざまな誤解があります。天井の蛍光灯がところどころ「間引き」されているオフィスをよく見かけますが、多くの機種では間引いたところにも電気が流れるため、大きな電気代の削減にはなりません。

事務用品のカタログ一括注文も、単価が安いうえ、すぐにオフィスまで配達してくれるので、一見コスト削減につながりそうです。落とし穴は、一定金額以上発注しないと送料がかかること。不要なものまで注文し、オフィス用品の在庫を過剰に抱えることになりがちです。

このように、目についたところに飛びつきがちですが、それでは効果は上がりません。正しい手順を踏むことが肝要です。