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成功のためのステップ

まずはコストの全体像を把握することから始めましょう。決算書では、多くの重要な経費項目が「水道光熱費」や「一般管理費」としてまとめられてしまっています。手間はかかりますが、電気代や通信費など詳細な項目ごとに、最低でも過去1年間の使用量と金額のデータを集めます。

次に、それぞれのコストを3つに分類します。1つ目は電気代やガス代、上下水道代などの「エネルギーコスト」です。「販管費」に隠れて見逃されがちですが、金額はかなり大きなものです。次が、通信費やコピー代、家賃などの「オフィスコスト」。3つ目が人件費や物流費などの「オペレーションコスト」です。

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コストの3分類

コストを3分類したら、単位ごとの費用(「原単位」という)を算出して、優先順位を決めます。たとえば「顧客1人あたりの水道光熱費」「売り上げに占める、店舗ごとの電気代の割合の年間推移」などです。工場や営業所、部門別に単位ごとの費用を算出し、業界標準や社内の平均と比較します。平均値からかけ離れているものを見つけ、優先的に着手しましょう。

これは「原単位管理」と呼ばれる方法で、工場などでは「製品一つの製造原価のうち、投下された電気代はいくらか」などのコスト管理に使われています。こういった手法を、製造現場だけでなく会社全体に広げるのです。

ここまできて初めて、実際のコスト削減に着手します。手法には大きく分けて3種類あり、費用対効果の高さから次の順序で取り組みます。

最初は、おおもとの契約を見直す「調達改善」です。効果が大きく、かつすぐに出るのにこれを怠っている企業が目立ちます。単価を引き下げる交渉をしたり、相見積もりを取って品質と金額を競ってもらいましょう。