「時間」を守れない営業は絶対に売れない

その後、決心したことがあります。

「約束の時間に遅れないようにする」、という当たり前のことです。

たとえ、電車が遅延したとしても、道路が渋滞していたとしても、間に合うように、余裕を持って行動をするようになりました。

駅で携帯電話をチェックする日本人ビジネスマン
写真=iStock.com/xavierarnau
※写真はイメージです

たいしたことはしていません。

「たぶん間に合うだろう」と思わず、「ひょっとしたら、間に合わないかもしれない」と考えるようになっただけです。

電車が遅れたら……

渋滞していたら……

迷子になったら……

エレベーターが行列だったら……

オンラインでは、通信が不安定になるかも……

そう考えるようになると、余裕を持って行動するようになります。

その結果、私の記憶では、それ以来、約束に遅れたことはありません。

卓越した生命保険・金融プロフェッショナル称号であるMDRT(Million Dollar Round Table)の終身会員でいらっしゃる一戸敏氏が、示唆に富む言葉をおっしゃっています。

「いくらトークがうまくても、商品知識があっても、『大切な3つを守れない営業マン』は10年営業マンをやっても売れません。その3つとは、『時間』『約束』『期限』です」

まさに、同意です。

もちろん不可抗力はあるでしょう。

でも、余裕を持って行動するくらいなら、今からでもできるはず。

まずは、余裕を持つ習慣を心がけてみてはいかがでしょうか。

スーパー正直であれ

契約額は大きければ大きいほど嬉しいですよね。

でも、必要以上に大きな契約額を取ろうとすると失敗します。

というのも、長いお付き合いができなくなるからです。

もちろん「最低価格から案内しましょう」ということではありません。

適正な提案をしましょう、ということです。

言い換えると、「スーパー正直であるべき」と言ってもいいでしょう。

2015年、ある生命保険の営業手法が社会問題になりました。

その内容は、明らかに適正さを欠くものでした。

「勧められたのは、毎月の支払い額が4万円の生命保険。支払う総額が640万円なのに対し、死亡時の受け取りは、500万円。しかも、その支払いは90歳になるまで続く……」

明らかに問題のある契約で、不正行為のレベルです。

普通は、こんな提案をしてはいけないことは誰もがわかります。

でも、これは他人事なのでしょうか。

営業は、悪魔のささやきに負けてしまいそうになることがあるもの。

数字のプレッシャーに追われ、あきらかに適正さを欠いた過大な提案をしたくなる瞬間は誰にでもあるのではないでしょうか。

白状しますと、ここまで悪質なものではありませんでしたが、私もありました。

新人の頃、「本当にこの提案でよかったのかな……」と反省する提案が……。

今も思い出すたびに、胸が痛くなります。

二度と過剰な提案をしないと決め、あれから年月が経ちました。

むろん一度たりとも、過剰な提案をしていません。(威張れることではありませんが……)