相手の信頼を得るにはどうしたらいいか。らしさラボ代表の伊庭正康さんは「お客様が知らないものの、お客様にとって関心のある情報を持っておくことで、お客様から感謝される会話ができるようになる。管理職や経営者からは、お客様の『現場』の情報を知っているとかなり喜ばれる。現場のことに関心のないキーマンはいない。やらない手はないだろう」という――。
※本稿は、伊庭正康『トップ営業の気くばり 「あなたから買いたい」と言われる47の秘訣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
「商品のよさだけで契約、営業への信頼で契約」の大きな違い
私が、営業を始めたばかりのこと。
トップセールスだった上司から教わったことがあります。
「商品のよさだけで契約したお客様は、他社がいい商品を提供すれば、縁が切れる。値段の安さで契約したお客様は、他社が安い商品を提供すれば、縁が切れる。しかし、営業への信頼で契約してくださるお客様は、何があっても縁は切れない」
本当にその通りだと、しみじみ思います。
私が通うクリニックで実際に見たシーンを紹介します。
待合室で待っていると、製薬会社の営業(MR)が院長にこんなことを言われていました。
この営業さんは「何でつながっている」のかを想像してみてください。
院長「薬の在庫がないのはわかるけど、在庫がないからムリです、と言われてしまうと、コチラとしては困る。申し訳ないけど、他の製薬会社さんにお願いすることにした。これからは、この薬だけ、お願いすることにしますね」
営業「すみません……」
営業「すみません……」
いかがでしょう。
何でつながっていると思いましたか。簡単ですよね。そうです。
「商品のよさでつながっている」関係です。
商品が途切れたと同時に、縁も切れる、まさにそんなシーンでした。