具体的なシチュエーションに落とし込んで考える
次は、もう少し身近な話題で考えてみましょう。
2024年1月、日本の小型月着陸実証機「SLIM」が月へ降り立ったことが報道され、国内外で話題となりました。
SLIMを開発したのは、日本の宇宙開発を担う宇宙航空研究開発機構の「JAXA」です。天体や宇宙に興味がなくとも、名前くらいは聞いたことがあるでしょう。
JAXAは、政府が所管する最大規模の国立研究開発法人です。衛星による惑星探査やロケットの開発、宇宙飛行士による宇宙環境での実験など数々の研究を行い、未だ謎が多い宇宙空間の調査と科学技術の発展に貢献しています。
政府所管の法人団体ということは、国の予算が使われている、ということです。調べて見ると、2023年の予算は約2200億円でした。
はたしてこの金額は多いのでしょうか、少ないのでしょうか?
同じように国民1人あたりで計算してみると、
2200億円÷1億人=2200円。
なので、1人あたり年間2200円ほどと割り出せます。月額にして約180円です。
コンビニでスイーツを買うぐらいの金額でしょうか。宇宙開発という国家の一大プロジェクトにしては、安すぎると感じる人もいるかもしれません。
実際に、JAXAの予算はアメリカ航空宇宙局「NASA」の16分の1、欧州宇宙機関「ESA」の5分の1と言われています。
計算してみると、NASAの予算は約3兆5000万円、ESAの予算は約1兆1000万円です。単純に金額だけで比べると、確かに日本が宇宙開発に割いている予算はかなり少ないようです。
2000億円の資金を寄付で集める方法
月面着陸で活躍したSLIMでも考えてみましょう。
SLIMの総開発費は149億円(2023年1月時点)。
同じように日本人の人口1億人で計算してみると、149億円÷1億人=149円です。コーヒーを買うのとほぼ同じ価格で、月面に降り立つ探査機ができてしまいました。国民から寄付金を募れば作れてしまうかもしれません。
ということで、今度はJAXAの予算担当者の立場に立って、これらの数字を企業戦略に活用してみます。
NASAやESAとの予算比較を使えば、国に宇宙開発予算の少なさを見せるわかりやすい指標となるでしょう。「@変換」よる具体例で訴えれば、国民の支持を得やすくなるかもしれません。
また、クラウドファンディングで開発予算を募るのも一案です。
たとえば、1人あたり2000円の寄付があれば、2000億円もの資金を集められます。これだけで予算にぐっと近づきます。
研究開発を促進する十分な資金を獲得できるでしょう。それに2000円なら、ちょっといいランチを食べに行くのと大差ありません。自分の興味がある事業を応援するためになら払えるという方も多いのではないでしょうか。
もちろん、日本人全員がJAXAに寄付するというのは現実的ではありません。ですが、「@変換」をすることでざっくりとした金額感はつかめたはずです。