日本の国家予算114兆円を身近な数字に置き換える方法

巨大すぎて複雑に感じる数字の筆頭が、日本の国家予算です。2023年度の国家予算は114兆円。

これは、普通に生活していたらまず出合うことのない莫大な金額です。もしかすると、「兆」という単位を見ただけで拒絶反応を示してしまう方がいるかもしれません。それほど、国家予算に登場する金額は現実感が薄いのです。

ありがたいことに、ビジネスの現場でこれより大きな数字を目にすることはそうそうありませんので、ここで大きな数字に対する先入観をなくしてしまいましょう。

図表1は2023年度の一般会計歳入総額の内訳を示したものです。

所得税18.4%(21兆円)、法人税12.8%(14.6兆円)、消費税20.4%(23.4兆円)、その他税収、その他収入、公債金といったものが含まれています。

私たちが支払っている「税金」に着目して、もう少し簡単に考えてみましょう。

国民が税金として納めている金額の合計は、69.4兆円です。これを日本人1人あたりの金額を計算して、より身近な数字にしてみます。

ここではざっくりイメージが掴めればよいので、日本人の人口を1億人とすると、

69.4兆円÷1億人=69万4000円。

つまり、1人あたり年間約70万円もの税金を支払っているという計算になります。給料明細に書かれている所得税や保険料などで考えると、感覚的に金額を理解できる人も多いはずです。

もちろん、企業を経営していない人には法人税の支払いがありませんし、消費税の負担額も人によって異なります。所得税だって違うでしょう。

ビジネスの現場でも強力な武器になる

ここで重要なのは、金額の正確さではありません。

「自分は国家予算のうち年間約70万円を負担している」という認識によって、少しでも114兆円という数字を身近に感じることが大切なのです。

国の歳出総額内訳

この歳出も「@変換」をしてみます。

歳出の総額は、歳入と同じ114兆円です(図表2)。

内訳で最も多いのが、私たちの生活に直接関係している社会保障関係費約36兆円。次に、道路や住宅、橋梁など、インフラ整備に使われる公共事業関係費が6兆円。学校教育や科学技術の発展のために使われる文教及び科学振興費が5兆円。

その後に防衛関係費10兆円、経済協力費5000億円、地方交付税交付金16兆円、といった数字が続いています。

それぞれ計算して、1人あたりの金額感を掴んでみましょう。

社会保障関係費:36兆円÷1億人=36万円
公共事業関係費:6兆円÷1億人=6万円
文教及び科学振興費:5兆円÷1億人=5万円
防衛関係費:10兆円÷1億人=10万円
経済協力費:5000億円÷1億人=5000円
地方交付税交付金:16兆円÷1億人=16万円

合計すると約73万円です。

支払っている税金が年間約70万円に対して、国民1人あたりに使われている税金は約73万円。これが多いと感じるか少ないと感じるかは人それぞれでしょう。

項目ごとの金額にしても、意見はさまざまあるはずです。

たとえば、社会保障費が36万円に対して、文教及び科学振興費は5万円。昨今、研究機関の資金不足や教員の労働環境・給与などの問題が話題に上がることも多いですが、こうして見ると、確かに使われている金額自体が少ない印象を受けるかもしれません。

「@変換」をすることで、114兆円という途方もない数字も「多い・少ない」が考えられる身近な数字に変換できました。

このように数字を「@変換」するテクニックは、ビジネスの現場でも強力な武器になります。