もちろん上司と部下にも恋愛の自由はある。だが、特に上司に家庭がある不倫関係では問題が起こりがちだ。不倫が崩れた途端に「セクハラがあった」と訴えられるケースが多々あるのだ。かつての合意などどこかへ追いやられ、最初の頃から「意に反した」として訴えられるから厄介だ。
もったいないことに、訴えられるのは功を成し名を上げた人が多い。地位・権力・お金を得ると、どうしてもそれを行使したくなり、女性に向かってしまうのだ。だが結局は、人生を棒に振ることになる。
また、私のところへ持ち込まれるセクハラ案件のかなりの割合がお酒がらみだ。日本人は欧米人に比べお酒が弱いうえ、酒席では無礼講の文化がある。お酒が入ると、どうしても緩みがちになるから危険だ。
うっかりセクハラ事件を引き起こすと、高額の損害賠償を背負わされることも珍しくなく、仕事では日陰に追いやられ、家庭もバラバラに崩壊するケースが珍しくない。
アメリカではボディゾーンといって、両腕を広げた範囲まで異性に近づくのはリスクがあると考えられている。それくらいの意識は持ったほうがいい。不用意に部下の女性と1対1で食事をするのも避けたほうが無難だ。もちろん、酔った勢いでのおさわりは、すべてNGである。
(構成=小澤啓司 撮影=坂本道浩)