土地の価値は下がるときは一気に下がる

しかし、賃貸物件がこれだけ増えている現状では、入居者争奪戦が激しくてそこまで家賃を上げられないし、大家の取り分もたかが知れている。それに家を買うためには、印紙代、登記費用、仲介手数料、融資手数料など諸々の初期費用が必要なのも注意点だ。ローン返済のほかに、修繕積立金や管理費といった固定費も毎月かかる。

「お金を使わずにただ持っているだけだと、お金の価値が下がるかもしれない」という不安もあるかもしれないが、その下げ幅は大したことはない。

しかし、土地の価値というものは、バブル崩壊後にみられたように下がるときはぐんと下がる。例えば、2000万円で買った土地が、災害や人口減少などの外的要因によって、1000万円まで下がるケースも十分に想定されることであり、将来にわたって購入額のまま維持される確率は低い。

家の背景に赤い矢印
写真=iStock.com/ADragan
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土地を活用する企業がたくさん出てくれば、その周辺の土地は値上がりする可能性があるかもしれない。だが、土地の価値が上がり続けると思っている人は、何の根拠もない土地神話を信奉しているにすぎない。

いまから賃貸に住み替えるのも一手

身の丈に合わない住宅ローンを組んでしまうと、病気や退職、転職などの事情で返済できなくなり、結局は家を売却せざるを得なくなったというケースも意外と多い。しかも、そのときに物件価格が下がっていてローンを完済できなければ、借金だけが残ってしまう。こういうときは、金融機関の取り立てがかなり厳しくなるから肝に銘じておこう。

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そうした悲惨な結末を避けるためにも、定年退職前の会社員は今のうちに返済計画に抜かりはないか、再確認しておいたほうがいい。

金利上昇の局面になってローンの借り換えを考えるくらいなら、むしろ、すぐに持ち家を売却してローンを完済してしまい、賃貸に住み替えるという手もある。そのほうが、不動産価格や金利の変動リスクを抱え込まなくていい。

もし、読者がやむを得ずマイホームを手放すことになっても、そこまで悲観する必要はない。子どもが自立しているのであれば、そこまで大きな家は必要ないし、むしろ胸を張って「これでリスクヘッジができた、運がよかった」と思うようにしよう。

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