基本は「金利を低く、金額を多く、期間を長く」
日銀が17年ぶりに利上げを行った。これからマイホームを購入する人も、既に住宅ローンを組んで購入している人も今後の金利の動向が気になるところだ。金利に敏感である人は情報感度の高い人だ。なぜなら、金利が1%上がると、住宅ローンの返済額は約18%も増えるからだ。金利による返済額の変化はこれだけ大きい。毎月の返済額は物件価格と金利の組み合わせで決まる。これからは物件価格の高騰と金利高の二重苦に悩まされるかもしれないが、それ以上の戦略を立てて対処しよう。
私は住宅ローンの借り方を指南する立場にある。不動産購入ではローンは最重要事項である。その指南方法は「金利を低く、金額を多く、期間を長く」と説明している。金利は低い変動金利を選び、頭金をなるべく入れずにできれば全額ローンとして、期間は最長の35年で借りた方がいいという考えだ。まずこれが基本だと心得よう。
今回の日銀の政策により、住宅ローンの変動金利が上がる可能性が高まった。これに先立ち2022年12月から長期金利の上昇を容認していた。これは長期固定金利の上昇を招き、変動(約0.4%)と固定(約1.9%)の金利差は1.5%程度に開いていた。ここまで開いていると、固定を選ぶ人がほぼいない状態となる。同じ借入額でありながら、月の返済額が28%も差がつくからだ。
焦点は「変動と固定の金利差がどうなるか」
これから購入する人の今後の焦点は、「変動金利が上がるか」のように言われているが、そうではない。もし、変動金利が0.3%上がったら、家を買うことをやめるのだろうか? マイホームを取得する人は多くの場合、家族がいて、家が欲しくなるタイミングは、結婚や子どもの小学校入学前などが多い。欲しいタイミングで最も有利なローンを選ぶだけの話である。
だからこそ、焦点は「変動と固定の金利差がどうなるか」に尽きる。そこで、2つの金利の特徴を把握しておこう。変動金利は短期プライムレート、固定金利は10年国債の利回りを基準として決定されるケースが多い。期間が1年以内の短期と長期の違いで金利の変動幅は3倍以上異なる。金利は上がるにしても短期金利は長期金利のように大きく上がることはない。また、金利が下降局面ではこの差が縮まりやすいが(以前は金利差が0.5%くらいまで縮まったことがある)、上昇局面では広がりやすい傾向にある。現時点でその差が1.5%もあり、金利上昇局面の時にその差が広がりこそすれ、縮まるとは考えにくい。