「省エネ」と「贈与の特例」が鍵になる

税制の1つ目は、住宅ローン控除で、所得税などから還付される。この減税制度で金利は0.7%まで補塡されているので、今の変動金利水準がたとえ上がっても、借りた方がマイナスローンで得になる。住宅ローンを借りると金利を払うどころか、キャッシュが増えるケースの方が多いのだ。

2024年においては、新築は省エネ基準適合をしていないと、その対象額はゼロになった。省エネ基準適合で3000万円、その上のZEH水準で3500万円、またその上で長期優良・低炭素住宅の場合4500万円となっている。中古も同様で、省エネ基準適合以上なら、3000万円だが、それ以外は2000万円だ。ここでの1000万円の違いは年7万円、ペアローンなら14万円、それが新築なら13年間で累計91万~182万円、中古なら10年間で70万円になる。つまり、新築で最大4500万円差は累計409万5000円の現金の差を生むことになる。

税制の2つ目は、現在は自宅取得に限定した贈与の特例を受けられる金額枠は500万円である。「質の高い住宅」の場合では、500万円増えて1000万円になる。例えば、断熱等性能等級4以上にすれば、500万円の贈与税85万円が免除される。これに加えて、暦年贈与の非課税枠が毎年110万円ある。

コインスタックの上にあるオレンジ色の家
写真=iStock.com/MicroStockHub
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親から住宅資金の贈与を受け、省エネ住宅を選ぶのが吉

ついては、変動金利が上がる話にかこつけて、親からの住宅資金の贈与を打診し、ダメなら借りることを相談してみよう。もし借りられるなら、この低金利時代なので、借用書には金利0.1%でもいいので書いておこう。そして、暦年贈与110万円の枠を毎年使おう。つまり、1000万円借りて、10年で返すとしても、暦年贈与との相殺で無税にできることになる。

これらの贈与を組み合わせるためにも、取得する物件は新築なら「質の高い住宅」から選び、中古なら断熱リフォームをしてから入居するようにしよう。このリフォーム代金の最大8割が補助金で戻ってきて(地域や対象商品などによる)、数年の光熱費削減額で回収できることもある。リフォーム代も住宅ローンを組んでいるので、返ってきた補助金で仲介手数料の支払いを相殺することも可能となる。これ以外にも、リフォーム促進税制というのがあり、リフォームで支払った金額の10%が所得税から還付されたり、固定資産税の1/3の減額もある。

「省エネ」は補助金と減税の宝庫

また、こどもエコすまい支援事業という補助金もある。高い省エネ性能(ZEHレベル)を持つ新築の注文住宅や分譲住宅を購入する際に、子育て世帯または若者夫婦世帯には、1戸あたり100万円の補助金が出るようになっている。先ほどの中古のリフォームにも補助金は最大200万円出るものもある。

これらのすべてを満たす方法はやや複雑なので、詳細は住まいサーフィンの会員限定で別の機会に詳しく説明したいが、とにかく住宅は国も自治体も省エネが推奨されており、補助金と減税の宝庫であるので使わない手はない。それは変動金利の上昇分をすべてまかなうだけの金額になっていることを覚えておこう。

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