金利は銀行の我慢比べが続く可能性が高い

変動金利について、貸し出す銀行の立場でも考えてみよう。9割以上が借りる変動金利は住宅ローンの主力商品であり、その差別化は金利ぐらいしかない。もし、金利を上げたら、他行に顧客を持っていかれるだけだ。特に住宅ローンが業績に大きく影響するネット銀行がそんな選択を取るのは自殺行為に近い。

その熾烈な顧客獲得競争の中、頭金が必要な時代が終焉し、フルローンで借りている人は半数以上に上っている。こうした状況では、金利は我慢比べが続く可能性が高く、上がっても0.1~0.2%にとどまると私は予想している。その恩恵は借り手側にあると言っても過言ではない。

そうなると、当面、固定金利を選択することも、変動から固定に借り換えをすることも現実的な選択肢ではない。

財務グラフの前のコインスタックの上にあるパーセンテージサイン
写真=iStock.com/MicroStockHub
※写真はイメージです

元本の減り方が鈍くても、物件価格はそれ以上に上昇している

次に、借りた後に変動金利が上がるリスクを考えよう。そこで知っておきたいのは2つのルールだ。変動金利には「5年ルール」と「125%ルール」がある。5年ルールとは、金利の見直しは半年・1年で行われるものの、5年間は返済額が変動することがないというもので、125%ルールは見直し後の返済額が、前回の1.25倍以上には増えないというものだ。この2つのルールがあるがゆえに、あっという間に返済に困る事態にはならない。

たとえ、元本の減り方が鈍っても、物件価格はそれ以上に上昇しているから心配に及ばない。既にマンションデベロッパーが仕込んだ土地は2割程度高くなっており、それが新築として2年後に出てくるので、相場が上がることが決まっているからだ。

金利が上がることで、日本人はローンを精神的に負担と考える人が多い。金利が高くなるなら、繰り上げ返済したくなるかもしれない。その際には、以下のロジックで検討しよう。