世の中にはたくさんの保険がある。どれに入ればいいのだろうか。ファイナンシャルプランナーの清水香さんは「持ち家のある人は地震保険には絶対に入っておいたほうがいい。官民一体の特殊な保険で、民間だけで運営すれば保険料は2倍になる」という――。
「大して保険金を受け取れない」という声も
火災保険に地震保険を付帯している割合(「付帯率」)は、現在約7割です。付帯率は右肩上がりで伸び続け、この20年でほぼ倍に。都道府県によるばらつきはありますが、地震保険の加入者はいまや多数派です。
ですが、「契約はしたけどよく知らない」――。こうした加入者が多いのも実情です。他方で「大して保険金を受け取れないから意味ない」と耳にすることも少なくありません。
どちらであっても、まず知ってほしいことがあります。
地震保険は、地震による生活基盤の喪失という究極的な場面で利用する“非常用グッズ”です。結論から申し上げれば、被災で打撃を受けた家計を支えるための、現実的かつ有力な準備手段にほかなりません。
他方で地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づく政府関与の特殊な保険制度であるゆえ(後述)、根強い誤解や勘違いが生じてもいます。入っていてもよく理解していなかったり、誤った情報に基づき加入の可否を判断したりすると、のちのち悔やむことになりかねません。
本当に困ったとき、思い通りに役立てられるよう、補償内容を正しく知り加入の可否を判断してほしい――。相談や講演の現場で、いつもそうお伝えしてきました。そこで今回は、よくある「3つの誤解」を切り口に、地震保険の要点についてわかりやすくお伝えしたいと思います。