アメリカではニコニコ、ジョーク連発の岸田首相
政局は首相不在の間に動く。
岸田文雄首相が米国ワシントンに国賓待遇で招待され、大統領専用車ビーストに同乗してバイデン大統領と満面笑顔で写真に収まり、ホワイトハウスの晩餐会でジョークを連発して喝采を浴びている隙に、東京では「岸田おろし」の火蓋が切って落とされた――。
Heading to dinner w/ @POTUS & @FLOTUS.
— 岸田文雄 (@kishida230) April 10, 2024
バイデン大統領夫妻との夕食会に向かう車中での様子です。 pic.twitter.com/FEfQWcnUVg
4月8日から14日までの米国訪問を岸田首相は何よりも楽しみにしていた。日本の首相が国賓待遇で米国に招待されるのは2015年の安倍晋三首相以来だ。
岸田政権発足から2年半。首相在任期間は田中角栄を超え戦後9位になり、4月22日には8位の橋本龍太郎と並ぶ。今世紀に入って衆参選挙に勝利したのは小泉純一郎政権、安倍政権、岸田政権しかない。ついには国賓待遇の米国訪問という栄誉にも浴することになった。岸田首相が日本政治史に名を刻む宰相になった昂揚感に包まれていたのは想像に難くない。
内閣支持率こそ低迷しているものの、それは安倍派の裏金事件のせいであって、自分が悪いわけではない。米国訪問で「外交の岸田」をアピールし、今国会で政治資金規正法を改正すれば、内閣支持率は回復してくるだろう。そうなれば国会会期末に6月解散・7月総選挙を断行し、9月の自民党総裁選で再選を果たす流れができる。支持率回復が思うように進まず、6月解散に踏み切れなくても、派閥解消で茂木敏充幹事長ら党内のライバルたちは弱体化している。有力なポスト岸田は見当たらず、総裁再選は十分に可能だ――。
岸田首相の胸の内はそんなところだろう。
乙武氏を公認しなかった小池都知事の意図
岸田首相は4日4日、安倍派の裏金議員ら39人に離党勧告や党員資格停止、党の役職停止などの処分を突きつけ、自民党を直撃した裏金事件に一定のケジメをつけた。
国内世論は「処分が甘すぎる」と反発し、自民党内では「なぜ首相自身は処分されないのか」「処分の線引きが恣意的だ」との不満が渦巻いていたが、お構いなし。首相の頭は米国訪問の晴れ舞台でいっぱいだった。