今やドジャースの“台風の目”となった大谷翔平。本場アメリカではどう見られているのか。大谷の番記者経験もある3人のジャーナリストが語った――。

※本稿は、ディラン・ヘルナンデス、サム・ブラム、志村朋哉『米番記者が見た大谷翔平 メジャー史上最高選手の実像』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平
写真=AFP/時事通信
2024年3月31日、カリフォルニア州ロサンゼルスのドジャースタジアムで行われたセントルイス・カージナルス戦の7回、ピッチャーゴロで一塁へ走るロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平#17。

ドジャース黄金時代の到来はあるか?

【トモヤ】大谷の入団でドジャースが戦力アップしたのは間違いない。打線の上位にはムーキー・ベッツ、大谷、フレディー・フリーマンというMVP受賞経験のある三人が並ぶと予想される。課題と言われていた先発投手陣については、大谷は来季はピッチングはできないけど、山本とグラスノーの加入でかなり強力になったと思う。僕はブレーブスと並ぶ優勝候補かなと思う。

【サム】確かに揃っている選手だけを見れば、優勝候補筆頭だろうね。僕が昨季リーグ王者のダイヤモンドバックスを推すのは、ワールドシリーズに出た戦力に加えて、オフシーズンに良い補強をしたから。チームの中心を担う若手選手が、まだ成長過程にあるのも大きい。まだメジャーでほとんどプレーしていないジョーダン・ローラーも、主力の一人になると思う。若手を育てることで勝てるチームになった。

ドジャースもずっと若手を育てることで勝ってきた。それに加えて、お金を使って補強するようにもなった。先発投手陣も名前だけ見れば、かなり充実している。特に25年、投手・大谷が復帰してエースとして22年のような活躍ができれば、ドジャースは間違いなく優勝候補だね。

でも野球というのは不思議なスポーツで、思った通りにいくとは限らない。120勝できるかもしれないし、うまくいかなければ85勝しかできないかもしれない。ダイヤモンドバックスをドジャースより上にするのは、不安要素が一番少ないから。昨年と同じような結果を残せる状況が一番整っていると思う。

【ディラン】優勝候補かどうかは、難しい質問だな。打線がすごいのは間違いないけど、先発投手陣には不安が残る。中4日となる登板で山本が日本でしていたような活躍ができるかは分からないし、グラスノーは怪我ばかりで、少ないイニング数しか投げたことがない。ウォーカー・ビューラーは2度目のトミー・ジョン手術からの復帰になる。ボビー・ミラーは、弱いチーム相手に成績は残したけど、プレーオフでは頼れる球種の少なさを露呈した。

レギュラーシーズンでは、問題にならないと思う。打線があまりに強力だし、層も厚いから。でも、10月に強いチームだけを相手に勝ち抜いていくのは全く別の戦いで、そのための戦力が十分かは、まだ分からない。