朝ごはんと「人生のパフォーマンス」に相関関係があると聞いたら、どう思うだろうか。『老けない最強食』(文春新書)を書いたジャーナリストの笹井恵里子さんは「東北大学の加齢医学研究所の調査によると、大学生400人の就職した会社、年収とも、朝食摂取と関係があることがわかっている」という――。
朝食
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
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ヨーグルトと納豆はほぼ完全栄養食

老けない最強食』(文春新書)では食品群ごとに「どうすれば老けないか」という観点から取材執筆した。そのような見た目を維持するための食べ方は、内側から健康になれる方法だ。そして一冊を書き終えた今、子ども時代から食に関してある2つを大事にすれば、それは生涯の健康財産になると思った。

笹井恵里子『老けない最強食』(文春新書)
笹井恵里子『老けない最強食』(文春新書)

ひとつは、「ヨーグルト」か「納豆」を毎日食べることだ。この2つは本書で「最強の食品」として紹介し、どのような老けない作用があるのかを記している。さらにこの2つを、大人になってからではなく子ども時代から食べることで、より大きな効果を得られると思う。

理由として、まずヨーグルトも納豆も、ほぼ完全栄養食であること。管理栄養士の望月理恵子氏が説明する。

「ヨーグルトにはタンパク質、ビタミンA、B、K、カルシウムなど幅広い栄養素が含まれています。足りないのは食物繊維とビタミンCぐらいですが、これもキウイやバナナなどの果物を加えることで補えます」

望月理恵子氏
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望月理恵子氏

良い働きをする菌を「プロバイオティクス」と呼び、これを増殖させ、元気にさせる成分を「プレバイオティクス」という。プレバイオティクスの代表がオリゴ糖と食物繊維だ。キウイもバナナもオリゴ糖と食物繊維を共に含むので、プレーンヨーグルトにどちらかをプラスすれば、全て一緒に摂れて最強の食品に。

「納豆も、原材料の大豆が五大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラル)のほぼすべてを備え、体内で生成できない9種類の必須アミノ酸も含むという優れた一品です」(望月氏)

誰もが世界にたった一つの腸内フローラをもつ

次に、これが重要なのだが、ヨーグルトも納豆も発酵食品であるため、腸内に有益菌(腸内細菌)が取り込まれ、腸内環境に働きかけることだ。腸内細菌がむ腸内環境――腸内フローラといわれるが、この原型は子ども時代につくられる。そして誰もが世界にたった一つの腸内フローラをもつ。腸内環境に詳しい第一会最高顧問の後藤利夫医師がこう説明する。

「人は母親の胎内にいる時は無菌の状態です。そして産道を通って生まれてくる時にはじめて細菌と出会います。生まれてからは母乳や離乳食など口から入ってくるもの、母親の体やベビーベッドなど体に触れるものから、どんどん細菌を体内に取り込んでいきます。

母親も、育つ環境も一人一人違いますから、腸内フローラも同じ人はいないのです。親子、兄弟間でも異なります。一般的には3歳くらいまでに腸内フローラの原型がつくられ、この時の腸内フローラが最も良い状態だといわれます。以降は腸内細菌の縄張り争いが生涯続くことになります」

後藤利夫医師
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後藤利夫医師