「東京一極集中」が進む本当の理由を知りたいか

東京一極集中や少子化対策も社会的課題として取り上げられて久しい。そして、東京都の合計特殊出生率が低いことの問題はかねてから指摘されている。実際、東京での子育ては非常に条件が厳しい。東京では家賃と比べた住環境などの生活関連費用が高コストであり、税負担・社会保障負担で苦しむ若者の結婚・出産が減少することは必然的なことだ。

そのため、東京一極集中を是正することは国家的な課題となっている。しかし、地方創生をはじめとした補助金バラマキ政策はほぼ効果が無く、若者が好条件の雇用を求めて東京に出ていく傾向は止まっていない。つまり、政策は失敗している。

ただでさえ、若者は都市に出る夢を見るものだ。東京都と比べて、地域の住環境が良く、潜在的には子育てに適した土地でも、地元社会のヒエラルキー構造が固定化し、地域のドンが補助金を差配する風通しの悪い地域に残りたくない気持ちも分かる。

渋谷のスクランブル交差点を行き交う人々
写真=iStock.com/CHUNYIP WONG
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地域活性化や少子化対策には「減税」政策こそが必要

日本の地域活性化や少子化対策に有効な政策は社会保険料を含めた「減税」である。特に良好な住環境を低価格で提供できる地方自治体が優良企業や現役世代向けの「地方税」を減税する試みは効果的であろう。従業員を雇用することができる黒字企業や現役の労働者世代を自らの自治体に呼び込むのだ。

子育て補助金のバラマキでは、一時的に子育て世帯を呼び込めるが、稼げる企業を呼び込めるわけではない。ベッドタウン化後にかつてのニュータウンのような場所になるのが関の山だ。それでは少子化も地域の衰退も止まらない。あくまで未婚かつ現役世代の所得状況及び住環境を改善することを中心に据えた「減税」政策こそが必要だ。

現在、日本の地方自治体は総務省が決めた標準税率に盲目的に従っており、東京都と同じ地方税率を設定している。さらに、地域によっては超過税率を余計に徴収し、東京都よりも高い税率を課している地方自治体すらある。そんな状況では、東京に企業も人間も出ていくのは当たり前だ。この状況を変える地方税減税が地方活性化と少子化対策に有効である。

まして、岸田政権が実行しようとしている現役世代に対する実質的な増税(子ども・子育て支援金)によるバラマキ強化なども問題解決には論外だ。浜田聡参議院議員が提出した質問主意書に対して、岸田政権は「子ども家庭庁の政策と合計特殊出生率の因果関係は示せない」という趣旨の答弁を閣議決定している。一体何のための政策なのか。