やり方によっては還元率100%を超えるゲームの種類

何度もいいますが、胴元がいるギャンブルでプレイヤーとしてゲームに参加した時点で、かなり分の悪い戦いなのです。しかし、カジノゲームの中でも、やり方によっては還元率が100%を超えるゲームがあります。

それが「ブラックジャック」です。ただし、ブラックジャックの一流プレイヤーは「ギャンブル」をしません。どういうことでしょうか。

2011年、ブラックジャックで一夜にして600万ドルを儲けたドン・ジョンソンという男性がいます。ドンはいっさいインチキをせず、特殊なテクニックも使っていません。ドンは競馬の勝率を計算する会社の経営者でした。彼はゲームにすごく詳しいわけではなく、数字と交渉に強かったのです。

2008年の景気後退(リーマンショック)以来、カジノは経営状態が厳しく、収益のかなりの部分が超高額を賭ける客(ハイローラー)から得ていました。ハイローラーを店に引き留めるため、いくつかのカジノでは「10%の損失をハイローラーに払い戻す」というキャッシュバックを提供する店が現れました。

ドンはこれを、「20%のキャッシュバック」にするよう店と交渉しました。例えば、ドンが100万ドルを賭けて勝利した場合はすべてドンのふところへ、負けたとしても20万ドルは戻ってくるということです。

ギャンブル
写真=iStock.com/okan akdeniz
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ルールを提案すれば、「胴元が必ず勝つ」を覆せる

また、ドンは自分に有利なゲームルールを持つカジノを探しました。ブラックジャックはカジノによってルールが細かく異なります。ドンが好むルールを持つブラックジャックのカジノを見つけ、ハイローラーを餌にカジノ側に有利な交渉を持ちかけたのです。

いくつかの条件でゲームをした結果、ドンは3つのカジノから半年で1500万ドル(16億5000万円)を獲得したのです。ドンは「アトランティックシティだけじゃなく、ラスベガスのどこのカジノでも私はもう歓迎されないよ」といっています。

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ギャンブル界では「胴元が必ず勝つ」といわれてきましたが、少なくともドンの物語は、カジノの世界で常識を覆す前代未聞のサクセスストーリーになりました。

「プレイヤーは、既定のルールの中で戦わないといけない」という思い込みを消し、自らが有利になるようなルールを提案したのです。

その結果、胴元とプレイヤー(ドン)の優位性が逆転しました。もちろん、1回ごとのゲームで負けることはありましたが、確率が味方をしているので、長くゲームを続けるほどいい結果を残せるという大数の法則のセオリーに従ってプレイした結果、勝ち越すことができたのです。