過去に支配されない生き方

多くの出会いの中に、印象が強く残っている人がいるものです。元カレや元カノはいうに及ばず、嫌な目にあわされて憎んでいる人もいるかもしれません。

しかし、過去の出来事を記憶の糸でつなぎ止め、手繰り寄せようとするのは、過去に支配されているようなもので、自由であるはずの現在や未来の選択肢が限定されます。せっかく三歩進んだのに“あの時のあの人”によって、二歩引き戻されるのです。

赤い糸
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好きだった人も、嫌な人も、しばらく会わず連絡を取らなければ、あなたと同じように、その間に相手にも多くの出会いがあります。あなたに関する記憶は、それらの新しい出会いの中に埋没していきます。

相手があなたのことを忘れていると知れば残念だったり、悔しかったりするでしょうが、それは仕方がありません。さまざまな出会いに巻き込まれながら前にしか進まない時間の前に、私たちはなす術がありません。

相手はあなたのことを忘れていると考え、あなたも新しく出会った人や、関係がつづいている人との縁を大切にしたほうが、はるかに心が自由になるでしょう。

人間関係は、もっと“ドライ”でいい

私の好きな言葉に「家庭はこんがらがった糸です。こんがらがっているからいいんです。ほどくとバラバラになってしまいます」があります。これは家庭だけでなく親戚関係などにも当てはまるでしょう。

こんがらがっているので、一本の糸に他の糸が引きずられて厄介な事態になることもありますが、いざというときに力を発揮するのも、こんがらがっている糸です。

こうしたことを覚悟した上で、家庭、親戚などの中でうまく立ち回る器用さは身につけておきたいと思います。実際には、冠婚葬祭、入学、卒業などの人生の節目で義理を果たしておく、といったことが必要になるでしょう。

人はそれぞれ自分の考えを持ち、やるべきと思うこと、やりたいことがあります。多くの人はこんがらがっている関係の中でも、自分の裁量が及ぶ範囲、他人から邪魔をされない範囲で物事を進めたいでしょう。

そうするためには、手伝ってと言われて初めて手伝い、それが終われば相手の裁量に任せる。そんな「あっさりさ」「さっぱりさ」が大切です。