人の意見に耳を傾け、他者の能力を引き出す

外向型がぶつかりがちなのはマズローの欲求5段階説でも説明できます。私たち人間は根源的な欲求が満たされると、さらに高い欲求を満たそうとする性質が備わっているとされています。食欲や睡眠欲など生きていくための欲求(第一欲求)が満たされれば、身の安全など安心感を持って生きていきたい(第二欲求)と考えるようになります。

安心感を持って生きられれば、人と関わりたいと思うようになります(第三欲求)。群れたいと考えるのです。群れて所属感を得られると、そこで認められたい、承認されたい気持ちが湧いてきます。褒められたい、好かれたい、尊敬されたい、出世したい、すべてはこの承認欲求によるものです。当然、承認欲求を多くの人が抱けば衝突します。

大山栄作『精神科医が教える「静かな人」のすごい力』(SBクリエイティブ)
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人間には、群れなければできないこともたくさんあります。群れることはある意味、必然です。ただ、群れることで承認欲求を強く抱く者が増えれば、メンバー同士でぶつかり合います。学校も会社もすべてこの承認欲求によるぶつかり合いがさまざまなトラブルを起こしています。

強い自信とカリスマ性と社交性だけでは組織は回りません。これをうまく束ねるのが内向型です。人の意見に注意深く耳を傾け、提案を受け入れ、他者の能力を引き出せる内向型がいることで組織も社会も成立しています。

人間の不変の欲求に折り合いをつけ、人類を進化させてきたのは内向型のDNAなのです。

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