個別株への投資もできるがリスクと手間は覚悟が必須

【Point3 成長投資枠の投資対象は?】

新NISAの成長投資枠はつみたて投資枠の一部なので、成長投資枠でも、つみたて投資枠で投資できるインデックスファンドに投資できるケースがほとんどです。

インデックスファンドへのつみたて投資だけでは飽き足らない人は、年間240万円、総額1200万円の成長投資枠を使って個別株やアクティブ型投資信託にも投資可能です。個別株については日本株だけでなく、米国株や米国ETFなど外国株にも投資できます。

インデックスファンド以上の高リターンを目指すなら、ハイリスクにはなりますが、日本の成長株や米国の巨大IT企業の個別株に投資するのも一つの考え方でしょう。

ただし、個別株投資はとても難しく、アクティブ型投資信託は毎年1~3%の信託報酬を徴収されるなど非常に高コストで、新NISAのような長期投資には不向きです。

もし、個別株に投資したい場合は、損失が出てしまうリスクやこまめに利益確定する手間や労力が必要なことを覚悟しておいたほうがいいでしょう。

株式市場を確認して頭を抱える人
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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できるだけ損失が出ない可能性の高い投資対象に絞る

【Point4 新NISAのデメリットは?】

投資で得た利益を非課税で受け取れるのがNISAの最大にして唯一のメリットです。このメリットをまったく生かせなくなるのは、投資したものの、損失が出てしまったときです。

利益にかかる約20%の税金は非課税になりますが、新NISA口座で損失が出たからといって国や金融庁が補塡ほてんをしてくれることは絶対にありません。

損失が出てしまうと、当たり前ですが課税されることもありません。つまり、新NISAの大きなデメリットは投資で損失が出ても、なんの救済措置もないことです。

課税口座の場合、投資をして損失が出ても、ほかの株式で利益が出ていれば、損益通算して、納める税金を減らしたり、払いすぎた税金を取り戻したりすることができます。

たとえば、ある年にある現物株に投資して100万円の損失が出たとしましょう。

一方、その年に、ほかの保有株から株主配当金10万円を受け取っていた場合、損失額のほうが大きいので、確定申告をすれば、10万円の配当金から源泉徴収されていた約20%の税金、約2万円を還付してもらえます。

その年の利益だけで損失額をカバーできない場合は、翌年以降に損失を繰り越すことで、その後、3年間は投資で得た利益と損益通算することができます。

先ほどの例の場合、100万円の損失を、株主配当金10万円と損益通算しても、90万円の損失が残ります。この90万円の損失については、その後、3年間の投資で得た利益と損益通算できます。

しかし、NISA口座内で発生した損失は、そもそも利益が出たときに税金を支払っていないので、損益通算しても税金が返ってくることはありません。

NISA口座の損失を課税口座の利益と損益通算することも認められていません。

そう考えると、新NISAではできるだけ損失が出ない可能性の高い投資対象に絞って投資すべきだということがわかります。