「日本のIKEAが韓国に上陸した」と現地報道
実は韓国では先ごろ、ニトリの1号店が開店したのですが、現地での評判が興味深かったのです。現地報道では「日本のIKEAが韓国に上陸した」と伝えられていたのです。
これはニトリがない他のアジア各国でも似た状況のようです。それらの国々では家具にしてもホーム用品にしても、地場の小売店に対してIKEAが黒船として進出してきて、その安さと洗練されたデザインで一定数の消費者を奪っているというのが基本的な競争環境のようなのです。
そこに新たにニトリがやってくると、現地の視点では「別の黒船が来た」ように感じられるようです。というのもIKEAは洗練はされているのですが、サイズ感が欧州志向というか、ありていに言えば小さなアジアの家屋にはやや手が余るのです。
実際、すでにニトリが進出に成功している地域の消費者の反応としては、体格が似ていて生活環境も似ている日本向けに開発されたニトリ商品の方がIKEAよりも受け入れやすいと言われているようです。
アジアがニトリにとっての主戦場になった
アジアでのグローバル化と言うのは経営の観点では手間がかかります。ひとつひとつの国でニトリというブランドを「お値段以上」の価値のあるブランドであることを浸透させていくために、ひとつひとつの国でマーケティング投資が必要であり、ひとつひとつの国で物流網の構築が必要であり、ひとつひとつの国で店舗人材の育成投資が必要なのです。
とはいえ円の通貨安によって、経営環境はアジアの売上が増えなければ増収増益基調には戻ることができない。つまりアジアがニトリにとっての最大の主戦場になったのです。
さて、そこで今回の社長人事です。実はニトリの武田政則社長は正確には国内のニトリのトップであると同時に、グローバルのニトリ商品の本部長であり、かつ海外販売事業管掌が担当でした。持ち株会社のニトリホールディングスでは実はこれまでナンバー5に相当する取締役のポジションにありました。