「3選出馬」を明言しない小池都知事
2016年6月に私が任期途中で都知事の職を辞した後、小池百合子氏が都知事選挙に勝利し、後任となった。今年の夏には2期8年間の任期を終えるが、3選を目指して出馬するか否かは明言していない。
これは邪推かもしれないが、小池氏が何も言わないのは、自民党の派閥のパーティ券問題による政界の激震を、国政への復帰のチャンスと見ているためかもしれない。
小池氏が都知事を続けるにしろ、国政に復帰するにしろ、この8年間の都政のかじ取りについてきちんと総括する必要があるだろう。
小池氏は公約を実行していない。「築地は守る」と言ったが、築地市場は解体され、豊洲に移転した。また、「情報公開は1丁目1番地」と言ったが、公開文書は黒塗りのままである。
さらに、2016年7月の都知事選の選挙公報では、①待機児童ゼロ、②介護離職ゼロ、③残業ゼロ、④都道電柱ゼロ、⑤満員電車ゼロ、⑥多摩格差ゼロ、⑦ペット殺処分ゼロ、という「7つのゼロ」を掲げたが、実現したのは⑦のみであった。
東京のランキングが16位も低下
小池都政が東京から活力を奪い、その国際的地位を大きく低下させたことを示すデータがある。
イギリスのシンクタンクZ/Yenが昨年3月に発表した世界金融センター指数(GFCI)によると、国際金融センターとしての東京のランキングは21位に留まった。
ちなみに前回は16位、私が都知事のときは5位だった。小池都政の8年間で、東京の順位は16位も後退している。
私は都知事時代、「東京世界一」を目指して、様々な施策を展開した。その一つが「東京国際金融センター構想」であり、2014年5月に専門家からなるタスクフォースを発足させた。
バブルの時代には、国際金融はニューヨーク、ロンドン、東京の3都市を中心に展開されていた。だがバブルが崩壊した後、デフレの時代を迎え、国際金融における日本の地位は低下。日本の銀行や証券会社は、次々に海外支店を閉鎖していった。