「太陽光発電義務化」は天下の愚策
小池都知事は都内の新築家屋に太陽光発電装置の設置を義務化しようとしている。だが、これはエネルギー問題の現実を無視した天下の愚策である。
多くの西側先進国は、地球温暖化や環境問題への対策として再生可能エネルギーを推進してきたが、太陽光や風力は安定供給という点で課題がある。
また、価格の問題も大きい。再生可能エネルギーは安価ではない。日本政府は、2012年に固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff 、FIT)を導入し、太陽光発電を対象に電力を買い取っている。
太陽光6000万kW超の買い取り額は3兆8400億円にものぼり、その分を「賦課金」として一般家庭に負担させている。その額は平均的な家庭で年間1万円以上、製造業の企業では従業員1人当たり年間10万円にものぼる。
アメリカは中国製太陽光パネルを禁輸
ちなみにこのFITのような制度は、再生可能エネルギー先進国であるドイツでは2014年に廃止している。
しかも、太陽光発電は、パネルの取り付けのみならず、老朽化したパネルの除去にも大きなコストがかかる。また廃棄物の大量発生という問題もある。
しかも太陽光発電パネルは中国から輸入することになる。中国の太陽光発電用結晶シリコンの世界シェアは約8割であり、しかもその半分以上は新疆ウイグル自治区で生産されているとも言われる。実際、アメリカは人権問題を理由に中国製太陽光パネルの禁輸措置を実施している。
また、ロシアのウクライナ侵攻は、これまでのような再生エネルギー至上主義ではなく、安定供給や価格も考慮したエネルギー政策の必要性を再認識するきっかけとなった。