コロナ禍で政府の足を引っ張る

2019年末に中国の武漢で新型コロナウイルス感染症が発生した。翌年の7月に都知事選を控えた小池氏は、これを最高の選挙キャンペーンの機会ととらえたかもしれない。

小池氏はコロナについて、「オーバーシュート」「ロックダウン」といった横文字を駆使し、必要以上に危機感を煽ってしまった。

そのため、都内のスーパーで商品が棚から消えてしまうなどの騒動が起こる。この騒動のあおりを受け、政府は、当初2020年3月末に予定していた緊急事態宣言の実施を、4月7日まで待つことになってしまう。

しかし、小池氏は連日のようにテレビに出て、自身のコロナ対策を説明することで、最大の選挙運動とした。

しかも小池氏は、「3密」を理由に、街頭演説も、公開討論も、ほとんど拒否した。

そのため、都知事選では1期目4年間の小池都政の功罪を検証する機会が奪われてしまった。

距離を置いて並ぶ人たちの足元
写真=iStock.com/recep-bg
「3密」を理由に、街頭演説も、公開討論も、ほとんど拒否した(※写真はイメージです)

いまだに答えていない「学歴詐称問題」

小池氏には週刊誌報道などで「カイロ大学を首席で卒業した」は嘘だという学歴詐称問題も浮上していた。だが、前回の都知事選では、他の候補がこの点を争点化することもできなかった。

ちなみに、作家の黒木亮氏はカイロ・アメリカン大学で修士号を取得しているが、彼は小池氏は嘘を連ねた履歴書を仕立てあげていると指摘している。

小池氏の経歴において、最大の売りが「カイロ大学首席卒業」であり、彼女はそれを武器にして、出世の階段を登っていった。

アラビア語を学んだり、エジプトに留学したりする日本人はあまり多くはないため、嘘を言ってもすぐにはばれない。だが、カイロ留学時代の元同居人も彼女の嘘について証言しているという。

ちなみに学歴詐称は、公選法違反に該当する。

こうした2期目の小池都政の問題点については、拙著『東京終了』(ワニブックスPLUS新書)に詳しく記してある。