国際金融には興味がなかった?

そこで、私は、東京を国際金融都市として大きく飛躍させることを政策目標に掲げ、シンガポール、香港、上海からアジアの金融ハブ機能を東京に取り戻そうとした。

そのために、規制緩和、行政手続きの簡素化・迅速化、英語表記を増やすなど社会インフラの整備、外国人向け医療やメイドサービスの確保など生活環境の整備、空港の機能強化、能力の高い人材の供給、ファンド・マネジメント強化など、様々な政策を進めた。

私の辞任後も、タスクフォースの金融専門家は私の構想をもとに検討を続けたものの、私の構想としてではなく、全く新しい構想であるかのように小池新都知事に提案したようである。

どのような形であれ、国際金融センターとしての東京の地位を向上させることが重要であるので、タスクフォースの「悪知恵」は是としなければならない。

しかし、提案を受けたはずの小池都知事は、国際金融に関してはあまり興味がなかったようだ。アドバイザーがいかに頑張ろうとも、トップにその気がなければ前進するはずがない。小池氏に投票した結果、都民が払うツケは余りにも大きいと言わざるを得ない。

小池氏は国際金融に興味がなかった? (2024年の1文字「E」を示す小池百合子東京都知事。2023年12月28日)
写真=時事通信フォト
小池氏は国際金融に興味がなかった? (2024年の1文字「E」を示す小池百合子東京都知事。2023年12月28日)

「選挙のためのパフォーマンス」だったのか

小池氏の関心は、自身が権力を握り、大衆の喝采を浴びることにある、と私には見える。政策の勉強や新しい課題への挑戦などにはあまり関心がないのではないか。

もしそうであれば、小池氏はパンとサーカスで大衆をあおる、パフォーマンスだけ得意な亡国政治家だと言わざるを得ない。

視聴率と部数しか関心がない日本のマスコミはその共犯者である。

私が辞任した直後の知事選では、小池氏のそのパフォーマンス能力が猛威を振るう。そのおかげで当選した彼女は、都知事就任後もパフォーマンス政治を続けた。

その第1は築地市場の豊洲移転問題である。2016年7月に都知事に就任した小池氏は、豊洲市場の安全性に疑義を呈し、同年11月7日に予定されていた築地から豊洲への移転を延期した。