エサつきの「引きとめ工作」に応じてはいけない
社員が退職の意向を伝えたら昇給や昇進の条件をつけ、引きとめ工作を試みる会社がある。これについては注意が必要だと、フェルナンデス=アラオスは語る。
「私の経験では、この手のオファーはたいてい昇給や権限拡大についての曖昧な約束だ」。が、これらの条件を受け入れた人のほとんどが、結局はそれから間もなく退職し、なかには解雇される人さえいるという。「いったん転職を決めてから、今の会社からの引きとめオファーを理由に断るのはやめたほうがいい。後々のキャリアの面からもまずい決断だ」。
いつ退職を会社に告げるかについて、予告期間は2週間程度で大丈夫だとクラマンは言う。だが、上級ポジションにいる人や進行中の大きなプロジェクトに関わっている人は別である。「主として重要性と責任の問題だ」と、フェルナンデス=アラオスは言う。「重要なポジションにいない人は、もちろん早く退職できる。重要な地位にいて大きな責任を負っている人の場合、今の仕事をすぐに辞めないことで、新しい会社からかえって高く評価される。それでも退職を本当に決めてから1カ月あれば通常は十分だ」。
状況がどれほど悪くても、突然辞めてはいけない。会社を怒らせるような辞め方は、将来のキャリアにマイナスになるおそれがある。「無責任に仕事を放棄してはならない。そんなことをしたら、悪い評判が永遠について回る」と、クラマンは言う。
(ディプロマット=翻訳 Getty Images=写真)