「スターリン超え」の30年支配が実現するが…

ロシア軍のウクライナ侵攻を指揮するプーチン大統領は3月17日投開票の大統領選に出馬し、大量得票で5選を果たす構えだ。当選すれば、2030年まで30年の長期支配が可能になり、スターリンを抜いて20世紀以降最長在任の指導者となる。

モスクワの労働組合会館で開催されたロシア連邦議会30周年記念議員評議会で演説するプーチン大統領
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
モスクワの労働組合会館で開催されたロシア連邦議会30周年記念議員評議会で演説するプーチン大統領=2023年12月20日

一方で、5期目の統治は困難や不透明性が増すことが予想される。ウクライナ侵攻を継続、または停戦するにせよ、戦況や戦後処理は混乱する。プーチン氏も71歳で、寿命の短いロシア人男性としては「後期高齢者」だ。

エリート層の間では、大統領選より利権に直結する内閣改造への関心が高く、選挙を機に、権力構造に変化が起きかねない。ロシアの新興メディアやSNSでは、後継者問題も取りざたされており、大統領選を経てロシアは「プーチン後」へ動くかもしれない。

大統領からの信頼が厚い「10人」の名前

ロシアのSNS「テレグラム」に「後継者(プリエムニク)」と題したサイトがあり、クレムリン要人の動向や後継問題を連日投稿している。2017年に開設され、誰が運営しているかは不明だが、クレムリンの内部事情にも精通し、政権の一部が関与している可能性がある。

毎月、「プーチンの後継者候補」30人のランキングを発表しており、12月5日の投稿ではベスト10は以下の通りだ。

①メドベージェフ安保会議副議長
②ミシュスティン首相
③キリエンコ大統領府第一副長官
④パトルシェフ農相
⑤トゥルチャク統一ロシア書記長
⑥デューミン・トゥーラ州知事
⑦ソビャーニン・モスクワ市長
⑧ワイノ大統領府長官
⑨ナルイシキン対外情報庁(SVR)長官
⑩クラスノフ検事総長

このリストは、大統領の信頼や親密さ、将来性、エリート層の支持、知識と能力などを基に選定したとしている。後継者は政権内部から選ばれるとの見立てだ。