格の違いが鮮明になった「一帯一路」フォーラム
10月17~18日、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際協力フォーラムに出席したロシアのプーチン大統領は、習近平国家主席を「世界的指導者」と持ち上げ、「一帯一路構想はロシアの考えと合致し、大きな成果を収めた」と絶賛した。
ロシアの国営メディアは、プーチン大統領が今回の訪中で世界的な威信と尊敬を集めたと伝え、「西側に対する象徴的な勝利」と描いている。
だが、「プーチンは手ぶらで帰った」(独立系紙モスクワ・タイムズ)とされるように、中国側はウクライナ侵攻で孤立するロシアへの深入りを避け、冷淡な対応がみられた。中露の格の違いも鮮明になり、ロシアの外交的後退を示した。
中国による「植民地貿易」を批判
9月の統一地方選で勝利したソビャーニン・モスクワ市長が9月28日、「モスクワ経済フォーラム」で行った中国批判演説が話題を呼んでいる。
大統領に近いソビャーニン市長はこの中で、「西側諸国の制裁により、東側に目を向けたロシア経済は新たな困難に直面した。東側は西側よりさらに厳しいことを認識しなければいけない」と述べ、中国の名指しは避けながら、中露経済協力の落とし穴に警告を発した。
市長は「東側は機械製造でも、航空機製造でも、エレクトロニクスの分野でも技術を提供しようとせず、優遇措置を自国企業に提供し、自国メーカーにダンピングを与えている」と述べ、「経済戦争という深刻な事態が起きている」と指摘した。
さらに、中国を念頭に、ロシアから資源のみを大幅な安値で購入し、完成品の購入を押し付けていると批判。ロシアへの技術移転や低利融資をほとんどしないと批判した。中露貿易の実態は、中国が資源を購入して製品を売る一種の「植民地貿易」であることを告発したものだ。