習主席を「世界のリーダー」と大絶賛
不均衡な中露経済関係への懸念や不満は、ロシアの経済官僚やビジネスマンの一部に出ているが、プーチン大統領は今回の訪中で、対中一辺倒路線を推進した。
訪問直前、中国中央テレビとのインタビューで、習主席を「間違いなく世界のリーダーだ。細部に気を配り、冷静で、ビジネスマインドがあり、信頼できるパートナーだ」とべた褒めだった。
中露経済協力については、両国貿易が今年、目標の2000億ドルを突破し、さらに拡大していくと予測。ソビャーニン市長の懸念についても、「製品貿易における不均衡について、中国の友人たちがわれわれの意向を無視することはなかった」と否定し、習主席のイニシアチブに今後も協力していくと誓った。
「一帯一路」は、中国の経済減速や途上国の「債務の罠」で難航しているが、大統領はフォーラムの演説で、「真に重要でグローバルな未来志向の構想だ」と絶賛。首脳会談では、「共通の外的な脅威が中露関係を強化させる」と述べ、対米連携を訴えた。
訪中前、ロシア政府は福島第1原発処理水の海洋放出を受け、日本産水産物の輸入制限を発表し、中国に同調していた。
一方、中国は冷淡な態度が目立つ
だが、歯の浮くような中国賛美にもかかわらず、訪中の成果はあまりなかった。
大統領には多数の経済閣僚や石油・ガス企業トップらが同行したが、中国側はロシアが強く求める2本目のガス・パイプライン建設構想に同意しなかった。ロシアは欧州向けのガス輸出が激減したため、北極圏のヤマル半島からモンゴル経由の第2のパイプライン建設を中国に持ちかけており、ロシアメディアは合意の可能性を報じたが、中国は応じなかった。
エネルギー調達先の多角化を進める中国は、中央アジアやアフリカからのガス輸入計画を進めており、ロシアへの過度の依存を避けたようだ。国際価格より大幅に安い石油・ガス輸出も維持される。
共同声明など首脳間の文書は今回、発表されなかった。ロシアメディアはパレスチナ情勢で共同文書が発表されると伝えていたが、誤報となった。