政権支持率は危険水域の14%だが…

ドイツ社会民主党=SPD(以下、社民党)の年次党大会が、12月10日から12日までの3日間、ベルリンで開かれた。

言うまでもなく社民党は、現在のドイツの政権党だ。ところが、12月15日の世論調査(ZDF Politbarometer)の示す支持率は14%。11月、不正な資金を来年の予算に組み込んでいたことを憲法裁判所(最高裁に相当)に咎められ、ドイツ連邦共和国建国以来初めて、翌年の予算が決まらないまま年を越すことになるというスキャンダル付きだ。

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それでも、ショルツ首相はいつも通りの涼しい顔で、「皆さん、心配は要りません」

社民党は、元々は労働者の党で、ドイツの政党の中では最古の歴史を誇る。ところが今では、「労働者」自体が時代遅れで、誰も自分が労働者であるとは思っていない。現在の社民党のカラーが鮮明でないのは、それが第一の原因だろう。

本来、その社民党のカウンターパートだったのが、資本家の利益を代表していたCDU(キリスト教民主同盟)で、ドイツは戦後長らく、この2党がバランス良く二大政党として並び立ち、切磋琢磨しながら、戦争で荒廃したドイツを快調に復興させていった。

社民党の立ち位置を変えたメルケル首相

ところが、ドイツが豊かになるにつれ、資本家vs労働者という輪郭が崩れ、それに伴い社民党もCDUも、どんどん厚くなっていく「労働者でも資本家でもない中間層」をどのように取り込むかという課題にぶつかった。

その流れの中、次第に両党の政策の差が縮まり、2005年にはついに、メルケル首相のCDUが社民党と大連立を組んだ。大連立は2009~13年の4年間を除いて、なんと2021年まで続き、特に13年以降、CDUは完全に左に転じた。

そこで、自分たちのお株を奪われた社民党は、さらに左に移動。それ以外に、立ち位置を確保する方法がなくなってしまったからだが、その結果、社民党内部では、過度な左翼のイデオロギーが強調されていった。